幕間 《ドリスに迫る危機》
「――ここですの?例の不審者を見かけたという場所は……」
「はい、発見したのはこの家に暮らす子爵家の使用人だそうです」
富豪区の管理を任されている黒狼騎士団のドリスは富豪区に暮らす貴族から連絡を受け、配下の騎士達を連れて移動してきた。彼女は部下からの報告を受けて子爵家の使用人が発見したという不審者の捜索を行う。
最近、富豪区では不審者の目撃情報が多発しており、その不審者は得体の知れない仮面を身に付けて富豪区を歩き回っているという。今の所は被害は確認されていないが、正体不明の不審者を見過ごす事は出来ず、ドリスは徹底的に調査を行う。
「では、この近辺を当たってみましょう。私は不審者を目撃した方と話して来ますわ」
「分かりました。おい、聞こえたな!?我々は周辺の調査に出向くぞ!!」
『はっ!!』
ドリスの指示を受けた王国騎士達は即座に行動に移り、その様子を見てドリスは子爵家の屋敷に尋ねて不審者を目撃したといいう使用人から話を聞こうとした。だが、ここで彼女は敷地内に足を踏み込もうとした瞬間、異変に気付く。
「これは……!?」
「団長、どうかされました?」
「……何か嫌な気配がしますわ」
「えっ……」
敷地内に踏み込んだ瞬間、ドリスは嫌な予感を抱き、同行していた数名の王国騎士は彼女の言葉に戸惑うが、ドリスは精神を集中させるように瞼を閉じる。
――ドリスは親衛隊のリンダから格闘技の指導を受けており、彼女が教える技術の中には「心眼」も含まれていた。リンダはナイと同じく「心眼」の使い手ではあるが、ナイの場合は度重なる戦闘を経て習得したのに対し、リンダの場合は鍛錬を積み重ねて得た技術である。
リンダやナイほどではないがドリスも「心眼」を扱う素質はあるため、彼女は周囲の様子を調べるために心眼を発動させるために精神を集中させる。そして彼女の抱いた違和感の正体、それは敷地内に生えている樹木の陰に何者かが隠れていた。
「何者ですの!?」
「えっ!?」
「まさか、敵がっ!?」
ドリスは咄嗟に武器を構えると、そんな彼女の言葉に反応したかのように屋敷の敷地内のあちこちから人影が現れ、その人物達の姿格好を見てドリスも側近の騎士達も驚愕の表情を浮かべた。
「まさか、その仮面は……!?」
「そんな馬鹿な!?」
『…………』
――仮面で顔面を覆い隠した集団は無言のままドリス達に襲い掛かった。
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