閑話 〈グマグ火山では……〉
「――暑いのう、この老体にこの暑さは流石にきついのう」
「はあっ、はあっ……暑い、というより熱いというのが正しいかと……」
王都の北方に存在する「グマグ火山」この場所は良質な火属性の魔石が採れやすいが、現在は一般人の立ち入りは禁止されている。理由としてはこの火山には休眠状態の火竜が存在し、下手に刺激して目を覚まさない様に一般人の出入りは禁じられていた。
そんな危険地帯に訪れているのはこの国では3人しか存在しない魔導士の「マホ」と彼女の一番弟子である「エルマ」だった。二人は赤色のマントを身に付けながら火山の麓を歩き、山頂に向けて移動していた。
「ふむ、断熱性に優れるレッドウルフの毛皮で作られたこのマントを身に付けてもこの暑さ……もしも素肌ならば10秒も経過しないうちに火傷を負ってしまうのう」
「な、何が起きてるんでしょうか……以前に来た時よりも明らかに火山全体が熱を増しているように感じます。まさか、噴火の予兆では……」
「分からぬ。しかし、用心して進まなければならんな」
二人がこの場所に訪れたのは火山の調査のためであり、少し前からグマグ火山の近辺に存在する砦の兵士から王都に連絡が届いた。それはグマグ火山付近の魔物が急激に数を減らし、最近では全く見かけなくなったという。丁度マホも王都に赴いていた時にその報告を受け、グマグ火山の異変を知る。
世界中で魔物の増加による被害が多発しているにも関わらず、何故かこのグマグ火山付近では魔物が一切見当たらなくなったという事にマホは疑問を抱き、彼女は自ら調査に乗り出した。
今回の調査にはマホが連れてきたのはエルマだけであり、他の二人は同行していない。理由としてはグマグ火山の調査のために必要なレッドウルフの毛皮のマントを二人分しか用意できなかった。だからこそマホは弟子たちの中では自分に忠実で実力も確かなエルマだけを同行させる。
「ふむ……山頂に近付く程に温度が上がっておるな」
「老師、これは普通ではありません。高い所に移動すれば気温が下がるのが当たり前なのに逆に上昇するなんて……」
「うむ、逆に言えば山頂の方で何かが起きているのかもしれん……ここから先は気を付けて進むぞ」
「はい……」
二人は水分補給を怠らずに山頂へ向けて移動を開始しようとした時、ここで二人は地面に大きな窪みを発見した。
「これは……何でしょうか?ここだけ妙に凹んでいるようですが……」
「ふむ、確かに……待て、これは……!?」
窪みを確認したマホは目を見開き、ここで彼女は杖を掲げると風属性の魔法を発動させ、自分の身体を風の力で浮き上がらせた。
「
「きゃっ!?し、師匠!?」
唐突に浮き上がったマホにエルマは驚くが、マホは上空へ浮上すると、彼女は信じがたい光景を確認した。マホとエルマが確認した窪みの正体、それは巨大な生物の足跡である事が判明した――
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