第12話 レベルアップ
「あれ、これって……そうだ。思い出した、確か……ステータス」
ナイは水晶の破片を掴んだ状態で呪文を唱えると、掌に浮かんだ魔法陣が光り輝き、その光が水晶の破片に宿る。すると水晶の表面に文字が浮き上がり、現時点のナイの「ステータス」が表示された。
まさか水晶板の破片の状態でもステータスが確認出来る事にナイは驚いたが、元々の大きさと比べると面積が小さいため、ステータスの一部分しか確認できない。だが、水晶の表面に表示された光の文章を見てナイは驚く。
「え、これって……僕のレベルが上がってる?」
水晶の表面にはしっかりと「レベル:2」と表示されており、陽光教会で調べた時はナイのレベルは1だったが、一角兎を倒した事でどうやらレベルが上昇したらしい。
初めて自分のレベルが上がっている事に気付いたナイは戸惑いながらも破片を見つめていると、他の項目を調べようとする。すると、水晶はまるでナイの意思に反応したかのように発光を強め、やがて水晶全体が光り輝く。
「うわっ……何だこれ?」
水晶の破片から放たれた光を地面に照らすと、地面に光の文章が照らされ、現時点のナイのステータスが表示された。水晶に浮かんだ光の文字が地面に照らされているらしく、ナイは自分のステータスの確認を行う。
――――ナイ――――
種族:人間
状態:普通
年齢:9才
レベル:2
SP《スキルポイント》:10――使用可能
―――技能一覧―――
・貧弱――日付が変更する事にレベルがリセットされる
――――――――――
地面に浮かんだ文章を確認してナイは自分のレベルが「2」に上がった事、そしてSPの項目に「使用可能」という文字が追加されている事に気付く。
レベルの方は強さを現す数値という事は陽光教会でも聞いているが、こちらのSPに関してはナイは何も知らされておらず、どういう意味なのかと不思議に思う。
「なんだろう、このSP《スキルポイント》って……それにこの文字は何だろう?」
SPに追加された「使用可能」という文字が気にかかり、どのような意味なのかとナイが考えた途端、手にしていた水晶の破片が再び光り輝く。
「こ、今度は何!?」
またも勝手に光り輝いた水晶の破片にナイは驚かされるが、直後に地面に照らされたナイの「ステータス」が消え去り、代わりに新しい文章が照らされた。
――習得可能技能一覧――
・観察眼――観察能力を高め、周囲の状況を詳しく把握できる(SP消費量:10)
・採取――採取の際、良質な素材が多く手に入りやすくなる(SP消費量:10)
・迎撃――敵対する相手が攻撃を仕掛けた際、迅速な攻撃動作で反攻に転じる(SP消費量:10)
――――――――――――
新たに表示された画面を見てナイは驚き、いったい何が起きたのかと戸惑うが、文章の内容を確認して「SP消費量」という文字が記されている事に気付く。
「これ……SPを使って新しい技能を覚えられるのかな?」
ナイはSPという文字を見て自分のステータス画面に表示されていた数値を思い出す。ナイの記憶では現在はSPを「10」を所持しており、この画面に表示されている3つの技能をいずれもSPを全て消費する事で習得可能だった。
「あれ……技能って、新しく覚えられるの?」
既にナイが所持している「貧弱」は生まれ持った技能ではあるが、この画面を確認する限りではSPを消費すれば新しい技能が覚えられるらしい。しかもどの技能も文面を見る限りでは中々に便利そうである。
貧弱と比べれば今のナイにとってはどの技能も喉から手が出る程に欲する能力であるため、もしも習得する事が出来るのなら覚えておきたい。だが、3つの技能の中から何を選ぶのかをナイは悩み、やがて選択した。
(……また、森や山の中に行くときに魔物に襲われたら、今度は爺ちゃんの邪魔にならないように僕も戦える力を身に付けないと)
ナイはゴブリンや一角兎に襲われた時、自分が足を引っ張ってアルに怪我をさせた事を思い出す。自分のせいでもう大切な養父を怪我させないため、ここは敢えて戦う力を身に付けるためにナイは「迎撃」の技能を覚える事にした。
(でも、どうやって覚えるんだろう……う〜ん)
地面に表示された光の文章を見てナイは頭を悩め、肝心の技能の習得方法が分からず、困っているとここで握りしめている水晶の破片に視線を向ける。
(そうだ、この破片……さっきから僕が考えた事に応えてみたいだ)
最初にナイがステータス画面を確認したいと思った時、水晶の破片は地面に光の文章を照らした事を思い出す。SPに関してもどのような意味があるのかと考えた途端に「習得可能技能一覧」という画面が表示された。
ここまでの傾向から、ナイが所持する水晶の破片は彼が考えている事に応える機能があると考えられ、ナイは試しに両手で水晶の破片を握りしめると技能を習得したいと願う。その瞬間、水晶の破片が光り輝き、やがてナイの肉体に異変が生じる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます