第299話 気分転換?

 選定で色々と問題が噴出。

 どうやら精神異常を引き起こす恐れがあるようで、これを解決するまでこれらを秘匿するようです。

 うーん、色々なアイテムで対応したはずですが、どうするつもりなのかな?

 そんな事を想いつつ、デルクはハア・・・・とため息をつく。


 溜息をついた分だけ幸せが逃げる、と言うけれど。

 実際ため息をつく事で溜まったものを吐き出さないとねえ。

 だから僕的にはため息はつかないと幸せがやってこない、と思うんだ。


 そんなどうでもいい事を考えながらデルクはセシルの所へ向かう。


「ただいま。」

「おかえり。今おっぱい中。」


 見るとセシルは子供を抱っこし、お乳をあげている所だった。


 あまりじろじろ見る事ではないので、すぐに移動する。


 セシルの丁度後ろ側の部屋へ移動し、そんなお乳をあげている後ろ姿を見て幸せだなあ、と感じるデルクだった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「・・・・とまあ、なかなかサードジョブの開放は進まなさそうなんだ。」

 子供はおっぱいを飲んで満足したのか、すやすやと寝ている。


「そうか。残念だがそれがいいのかも。」

「残念?」

「ん。3つのジョブをうまく生かせば、皆それなりに活躍できる。魔物の脅威に怯えずに暮らす事もできるはず。」


 平和な活用ならいいんだ。確かに理想。だが人とはこういった力を得ると、欲に目がくらむ場合がある。

 自尊心が強ければそれも抑えられるだろうが、そうでなければ欲望に身を任せ、得た力を望まぬ形で使ってしまう。


 デルクはあの場では言わなかったが、人の本質には誰もが少なからずそうした面があるので、それを無くす事は不可能。

 なので現実的にサードジョブの開放は難しいだろうとも感じていた。

 そして実際には選定後の情緒不安?精神の不安定が招く状態異常。

 何かアイテムがあれば・・・・あ!そうだ、アイテムだ!

 精神を落ち着かせるアイテムがあればもしかして・・・・?でも何度も試しているのに採用されないのには何かある?


 後は悪用させないような手を打たないと。


 特に司祭に関しては国で厳重に管理し、秘匿しておかないといけない部分がある。

 そうは言っても司祭のレベルを10にあげるのは現実的に無理があるので、どうなる事やら。


 結局卵が先か鶏が先かという事なのかな?


 サードジョブ全て遊び人にすれば、3つ共司祭になる事ができ、単純にレベルを4・3・3にすればレベル10になる事ができる。

 尤もこの仕組みは色々おかしいのだけれども。

 何故3つのジョブのレベルを足すのか意味不明。

 3つの経験値を足した数値分のレベルになるのであればまだ分かるのだけれど。

 しかしこれは本当に危険なので、余程の人以外には知られないようにした方がいい。

 それを王都以外ではセカンド・サードに関しては任意のジョブにジョブチェンジできないようにするとか。


 ああ、考えてもキリがないなあ。


 その時セシルが、

「あまり考えこんでも駄目な時は駄目。気分転換にどこかへ出掛けてはどうだ?」


「気分転換?」


 セシルは流石だ。

 こんな単純な事に気が付かないなんて僕も大概行き詰っていたんだな。

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