第293話 求婚 その3
デルクとセシルが去った場には、デルクがセシルに公開プロポーズをせざるを得ない状況に追い込んだはずなのだが、
「後悔はあなたよ?いつものおふざけのつもりでしょうが、デルク君が衆目がるのにあんな事をするとは・・・・」
王妃様は国王陛下を蹴り飛ばしながらそんな事を。
「ま、まて、ここに居る皆がセシル嬢を前にデルクがこの場でプロポーズすると思っただろ?期待してただろ?」
うん期待していた、と言うより弄ってた・・・・そんな声が聞こえそうだが皆押し黙る。
「後で詫びを入れねばな。」
トゥーニスの一言で場が固まる。
きっと今頃人の居ない場所でデルクは・・・・
「まあそれより父上ですな。デルクはストイックなのですよ。そしてセシルも。一度そのように伝えたはずですが?」
「い、いやあの時は冗談だろうと・・・・」
「百歩譲って冗談だったとしても、今やデルクとセシルの為人は皆がわかっているはず。デルクがこの場でセシルに求婚する訳がないじゃないか!なんて面倒な事をしてくれたんだ!俺は反対したぞ!」
一寸見てみたいと思っていたトゥーニスだが内緒にしている。
暫く陛下の株はダダ下がりだな、とため息をつく宰相閣下だった。
・・・・
・・・
・・
・
「デルク、どうするんだ?」
今デルクはセシルをお姫様抱っこして空高く移動している。
しかし流石のデルクもあまり長時間この様な事をしていると魔力が枯渇する。
目指す場所はもうすぐ。それまでの辛抱。
「もうすぐだよ。ほらあそこ。」
デルクが降り立たのは小高い場所にある岬。
目につく先は全て海。
デルクはそっとセシルを地面へと下ろす。
そして念の為浄化で綺麗に。何せセシルは演技とはいえ床を転がり汚れてしまっていたからだ。
そんな事を気にしないセシルだが、これからデルクが行おうとしている事を思えば綺麗にしておいてあげたい、デルクの為に。
そう思っての行動。
セシルは今から何が起こるのか知らない。
そして時刻は夕方。
日が落ち徐々に周囲が暗くなる。
そして海の向こうは沈んでいく太陽が見える。そして周囲の色が徐々に変化していく。
見事な夕焼け。
「綺麗・・・・」
普段夕焼けにあまり関心のないセシルだが、この場にはデルクと2人っきり。
急にドキドキしてしまう。
空は限りなく紅く燃えるよう。
そして雲がその夕焼けを引き立てている。
【苦労したんだからね、皆に後で褒美を頂戴よ?】
光の精霊フォスが代表して伝えてくれる。
【べ、別に褒美はいいのだけど・・・・上手くやってよね?】
普段あまり話しかけてこない水の精霊アクア。
雲は水蒸気の塊。
そして火の精霊と風の精霊の力を借りて見事な雲を作り出したデルク。
【僕もたまにはこうして役に立たないとね!】
風の精霊・僕っ娘アネモス。
【しっかり決めてあげるのだな・主よ。】
気障なセリフは火の精霊・イグニス。
【儂は今回役に立っておらぬが、主の成功を祈っておるよ。セシルちゃんは幸せになる権利があるからのう。】
土の精霊ボーデンさんがそんな事を言うけれど、この岬、綺麗に整えてくれたのはボーデンさんだというのを僕は知っています。。
【みんなありがとう!後でたっぷり魔力をあげるよ!】
【そんなつもりではないが、最後の仕上げが待っている。】
闇の精霊モーカー。
この後フォスさんとモーカーさんで仕上げをしてくれる。
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