第290話 結局何も変わらない

 この後僕は、色々な事があり過ぎて頭に何も入らない状態になってしまい、結局この場で何が行われていたのか半分も理解できませんでした。


 これはセシルとレイナウト、ロースも同様で、一介の平民がいきなり貴族になってしまったので、実感がわきません。


 その後宰相閣下の配慮で、色々ある実務的な手続き等は3日後に行いました。


 この頃になると僕達4人は事の重大さに驚いたり恐ろしくなったり。


 因みにヴィーベさんとリニさんはケロッとしていました。何故だろう?

 もしかして元々親か、若しくは親戚が貴族だった?


 この後更に1ヶ月後にまた城へ来るよう言われ、向かうと何やら褒美を受け取れと言われ、断ろうとすれば恥をかかすな!と怒られる始末。


「・・・・という訳で、デルク殿とレイナウト殿には王都での住まいを褒美として渡しておく。領地に関しては其方達の希望もあり今回は保留とする。」


 何の知識もない僕達に領地を与えられても何もできませんから。


 それと、僕達は冒険者なのですが、貴族の当主となってしまった為に冒険者としての活動は自粛してほしいと言われてしまいました。

 なんだかんだで平民と貴族は身分の差は大きく、今後デルク達がギルドへ顔を出せば皆平伏してしまうだろう・・・・と。


 うーん、これは困った・・・・

 僕達はダンジョンの下層へいつでも行けるので、ドロップアイテムを沢山手に入れられますが、これらをどこで換金すればいのか・・・・


 ヴィーベさんとリニさんも、事実上商人ギルドの職員としては今後活動できないでしょうし。


 誰か代理人に託すしか?


 それと僕達4人には、国から極秘?任務が与えられました。

 遊び人部隊の強化です。

 先だってダンジョンでレベリングしたのはあくまで遊び人のうちごく一部。

 これを可能な限り順番にレベリングしてほしいのだとか。


 これに関して、囲いは僕の所有物なので、囲い無しで他の遊び人が単独若しくはパーティーで簡単にレベリングするのは非常に困難。


 レイナウト達からは囲いはデルクが管理し、貸すのは避けた方が良いとの意見があり、結果囲いを所有している僕自らダンジョンに出向く事となり・・・・


 半年後、レイナウトとロースの結婚が発表され、セシルは大いに喜んでいました。


「デルク、あの2人はいい夫婦になる。」

「そうだね。あの2人なら何があっても乗り切って行けるだろう。」

「私も、あんな風になりたい。」


 時々セシルがこんな風に誰に言うでもなく呟いているのを聞いてしまうと、僕はセシルの事を、幸せにできるのだろうかと真剣に考えてしまいます。

 しかしセシルは僕がプロポーズして、受けてくれるのでしょうか?

 もしかして僕の勝手な思い込み?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る