第203話 トゥーニス その3
何があったのかわからないが、今年は教会の遊び人に対する扱いが特別酷い。
何とか全員無事・・・・とは言わないが、まさか10歳の少女を犯そうとする司祭がいるのには驚いたが、幸いにもどうやら事前にデルクが助言をしていたらしく、貞操帯を身に着けていたため犯されずに済んだが、一体何を考えているのだか。
救助した子供は全て王都へ送った。
流石に王都の、しかも城の中まではいかに教会と言えども手出しはできまい。
俺は拠点に設置してある魔道具で親父に、つまり国王と連絡を取っているのだが、どうやらデルクが引き金となって、教会の遊び人狩りが発動したらしい。
しかもタイミングが悪く、どうやらどこかの大司教が近々引退するらしく、その後釜をめぐって数人の司祭が功をもって大司教になろうとしており、そんなおりデルクの選定で最も有力だった司祭が窮地に陥り、大々的に遊び人狩りを行い、無かった事にしてしまおうという流れが今の現状らしい。
デルクが俺の所へやってきた事は周囲に知られており、今更王都には送れないのでこのまま色々と学んでもらう事にした。
ヴィーベやリニの護衛があれば野外での薬草採取もできるだろうから、しっかり学んでもらいつつ生き残る事を学んでもらう。
流石に俺の所で活動しているデルクを街中で襲う事は無かろうが、気をつけねば。
こうして半年ほど経った時・・・・いや2カ月程度だったか?1年?どれ程の期間だったかは忘れたが、デルクのレベル上げを本格的にダンジョンで活動をしてもらおうとヴィーベとリニに頼み連れ出してもらう。
本当であれば俺も向かいたいが、教会と事を構えている手前それも難しい。
俺は問題ないと思っていた。
何せこの数ヶ月にわたるデルクの成長はすさまじく、俺が渡した魔道具を見事解析、モノによっては完ぺきに再現していたからだ。
元々生産系の能力が備わっていたのだろ。
そして信じられない事に、デルクは収納かばんまで作ってしまった。尤も今の所は劣化ものだが、たった1人で収納かばんを作ってしまうとは。
俺の所有している収納かばんは、俺が父の頼みで動いているから貸してくれたのであって、いかに貴族であろうともそう易々と所持できる代物ではない。
それを一度解析しただけで再現してしまう。
本来なら数人がかりでないとできないのだが、流石サードジョブ全てが遊び人だ。
今後サードジョブまで選定を受ける人が増えるかもしれぬ、とも思うがそう簡単な事ではない。
何せ同じジョブを選定できた者が過去に居ないからだ。
これにはいくつか説があるが、俺が思うに選定自体は選定を受ける者の能力や適性がある程度反映されているはずだが、どうもそれにはムラがある。
恐らく各職業には基準が存在する。
そして人はそれぞれ能力が違い、たとえ戦士になりたいと思っていても力がなく、魔力を沢山所持していれば本人の希望とは関係なく魔術師になる、なんて事もあり得る。
これを思うに、元々の能力が高い者であれば、選定で選択できるジョブの数が多く、このせいでセカンド、サードジョブを選択しても同じ職業を選定できないのでは、と考える。
だがデルクの場合はどうか。
カードを見たが、デルクの場合運が突出している。
尤も遊び人に選出される者は皆総じて賢く運が強い。
だが、だからと言って3回とも同じジョブを引き当てるのは難しいのだが、一体何が基準なのだ?
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