第202話 トゥーニス その2
引き続き Side トゥーニス
「遊び人のトゥーニス様が住んでいらっしゃるお宅でしょうか?」
10歳程の少年がやってきた。
別に隠しているつもりはないが、こんなまだ子供であろう少年がどうやって私という存在に辿り着いたのか。
「僕はデルクと言います。もうすぐ選定を受けるのですが、もし遊び人を選定した場合に備え、この街で活動をしている遊び人の方からお話を聞けたらと思い、無礼を承知で事前の約束もなく訪れました事、お詫びいたしますと共に、どうかお話を聞かせて下さい。」
デルクという名は聞いた事がある。
この界隈で神童と騒がれている少年だ。
俺は毎年このシーズンになると新たに選定を受ける子供がどの教会に赴くか調べている。そんな中私塾で学んでいる子供も調べるのだが、その中に神童と言われている子供がいた。
どうやら選定で遊び人という職業が不利益を受け、下手をすれば、いや下手をしなくても教会から追われる立場に追いやられるのだが、どうしてか事前にそれを調べ、対策を考えているらしい。
いや、そんな対策を考えるような子供はそうそういない上に、恐らく違う職業を選定するだろう。
剣聖や賢者はいきなりなれない職業だから無理としても、魔法戦士や神聖騎士にならなれるかもしれない。軍師の可能性もあるか。
生産職の場合錬金術師などの可能性もあり得る。
「今話す事は特にないが、万が一遊び人になったならまたここに来るがいい。その時は迎え入れよう。」
「ありがとうございます!」
デルクという少年は俺の話を聞きたかったのだろうが、下手に俺とかかわりを持っていらぬ疑いをかけ察せるわけにはいかないのでさっさと引き上げてもらった。
だが、選定が始まった直後彼は再びやってきた。
丁度俺も忙しくなる時だったのだが、教会で信じられない噂が広がったので、真実を確認しようと拠点兼自宅に戻っていた時だった故に俺は在宅だったのだが。
サードジョブまで選択した奴がいたらしい。
しかも3つとも遊び人を引き当てたとか。
それも神童と言われる未来を期待されていた司祭の秘蔵っ子。
そしてその少年が今、俺の前に居た。
以前見た事のある少年だった。
「お忙しいところ申し訳ありません。以前お約束をしていたのですが、覚えておられるでしょうか?」
俺は周囲を警戒しつつ、すぐに俺の前に居る少年を中に招き入れた。
これでも俺は準男爵。
子に爵位を引き継がせる事はできないが、それでも貴族の端くれ。
そうそう日中に襲撃を受けるとは思えないが。
そして俺は今忙しい。
いくら素晴らしい人材でも、1人にかまっていられるほど時間はない。
なので弟子に任せる事にした。
ヴィーベとリニだ。
調子に乗りやすいが、弟分に対してはいいところを見せようとするだろうから問題ないだろう。暴走しそうになればリニが何とかするだろうし。
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