第182話 トゥーニスさんの立場

 トゥーニス・ファン・ホーヘンドルプ 39歳。

 元々は準男爵だったが、現在の身分は伯爵。

 そしてこれが一番重要なのだが、何と伯爵であるにもかかわらず現在独身。


「え?トゥーニスさんって独身だったんですか?」


 僕は驚きました。

 こう言っては何ですが、僕が知り合った時点でトゥーニスさんの身分は準男爵。

 この時は一代限りの爵位だったようですが、現在のトゥーニスさんは子供に爵位を引き継がせる事が出来る爵位持ち。

 そんな彼が独身だなんて信じられません。


 伯爵ともなれば、跡継ぎの存在が不可欠で、結果沢山の女性を妻として迎え入れ、子を沢山産んで育ててもらわないといけない・・・・そんな立場のはずなんです。


 もし跡継ぎがいないまま貴族の当主に何かあれば、その後に勃発するであろう後継者争いで恐ろしい事になってしまいます。

 貴族になればいくつかの義務を負う事になるそうですが、その中1つに領地を持つ貴族であれば領地の管理、税金の管理、人の管理をしなくてはいけません。

 領地の場合、土地の管理であったり農地の管理、治水等の管理など。税金は当然ながら領地を治める上で必要不可欠で、領民から税を取り、その金で領地を運営していく。

 そして税を取るには領民がどれほど住んでいるのか把握しないといけません。

 そして領民の安全、商売の管理、冒険者の管理等々・・・・多岐に渡り、1人で全てを管理するのは不可能でしょう。


 当然1人ではできません。それぞれのギルドに実質管理をしてもらうのですが、今現在この中で冒険者の管理が大問題になっているそうです。


 教会です。


 教会が全住民の管理を担っていたため、特に職業管理は教会が独占状態でした。

 10歳になれば職業の選定を受ける必要があり、それは教会でしかできません。


 しかしこの国は教会の勢力を駆逐してしまいました。

 で、今後誰がその役目を担うのか・・・・未だ確定していないようです。


 で、その役割をトゥーニスさんが、と国王陛下は考えているようですが、そこで先ほど触れたトゥーニスさんの独身問題が出てきます。


「まあそう言うなデルクよ。俺はな、元々この街に住んでいる時、ここで今では教母になってしまったが、ユスティネと俺は恋人だったのだよ。だが・・・・今ならもう言ってもいいだろうが、俺は父である国王から遊び人の保護及び教会勢力を監視、この2つを長年・・・・詳しくは省くが行っていてな。とてもじゃないが結婚できる環境ではなかったのだよ。だがそれも変わった。」


 何が変わったのでしょうか?

「すいません、僕その辺りの事は全く分からないんですよ。」


「おおそうだったな!3年だったな。その間に色々あってな!まずは遊び人狩りだ。俺は遊び人をうまく組織し、この組織は国の機関として重要な役割を担っていた。そして教会の不正を可能な限り調べ、最終的には全面対決となったのだよ。だが遊び人部隊の前に教会は対応できなくてな。去年ようやく教会の勢力を国から締め出した・・・・だがギルドマスターのように教会の僕と化したまま国に留まっている輩がまだいるらしい。」


 うーん、話が色々ありすぎて、何が何だか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る