第160話 ロースの指摘

 僕が光の精霊の使役が終わってやれやれと思っていると、ロースが僕の傍に来ました。

 どうやら出せる精霊を全て魔物の討伐に向かわせたようです。


「ねえデルク、何でデルクの精霊って全部人型なのよ?」

「えっ?そう言われても・・・・ロースの精霊って色々な姿だね。」


 火の精霊なんかは鳥さんだし、風の精霊なんかはっきりとした形がわからないし。

「そう言えばさっき・・・・そこで無駄に輝きまくっている精霊さんが、妙な事を言っていたけれど?」

「なになに?」


「まあ要約すれば精霊を使役する時って、精霊が僕達の目に見える様に出現した時なんだけど、最初の姿は、主の思い描く姿になるらしいんだ。」


「え?そうなの?そんな事習わなかったし聞いた事ないわよ!」

【・・・・私も魔物の討伐に向かいまーす!】

【おーい一寸待って!】

【うぐ・・・・何よ?私は忙しいんだから!】

「ねえデルク、この精霊女性よね?」

「そうらしいんだけど・・・・あ、もしかしてロースの精霊って・・・・」


「私の精霊って、1体をのぞいて全て男性よ?」

「え?そうなんだ?だけど僕の精霊って、土と火は男性だよ?」


「そう?でも何で人間の姿ばかりなのよ?」

 ロースは何か思う所があったのか、ふらふらと去っていきます。あれ?レイナウトは?


 ロースってレイナウトの所に居たんじゃなかったっけ?

 ロースは精霊を召喚する僕が心配になって様子を見に来てくれたらしいです。


 ふう・・・・もう精霊はいいよね?

 あ、誰かがツンツンしてきます。

 セシルです。


「ダンジョンの管理人さんから連絡。デルクが出ないから私に聞いてきた。」


「あ、ありがとう。きっと精霊の事だ。デルタさんが精霊を召喚してほしいって・・・・正確には使役してほしかったのかな?魔力を消費してほしいような感じだったから。ちょっと会話をしてみるよ。」


「ん。わかった。私はデルクの隣にいる。」

 僕の隣に腰掛けて・・・・う、やっぱりセシルってかわいい!


【デルク様申し訳ございません。本来ならあのような魔道具如き・・・・・・・・・・でスタンピートなど無理なのですが、間が悪くダンジョンの修復中でございましたので、あのような魔道具の干渉を防ぐ事が出来ませんでした。】


【本来なら何ともなかったの?】

【ええ、あのようにダンジョンから離れての起動ですので、本来なら問題ございません。ただダンジョン内で魔道具を発動されていましたから、流石に防ぎようがないのですが。】


【よくわからないけれど・・・・あ、精霊を使役して今魔物と戦っているんだけど、どうしたらよかったのかな?】


【では精霊に魔法を使用してもらって下さい。精霊は周囲の魔力を糧にしますので、暫くは本体を維持したまま魔法を放てるでしょう。】

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