第155話 精霊術
【もう少し!もう少しだけ頑張んなさいよ!】
いや、だから君誰?
多分精霊だとは思うんだけど一寸気になるなあ。
「デルクどうするの?流石に詰め込み過ぎはどうかと思うけど?」
ロース先生は、僕が集中しすぎている事に対し、少し時間を置いた方がいいと考えているみたい。
だけど何だか今じゃないといけない気がするんだ。
因みに今、僕とロースは城壁と言うべき?
街と外を隔てる壁の上にいるんです。
その上から、時折ロースが召喚した精霊達は魔物を仕留めていて、僕は残念ながら魔物と戦えそうな精霊をまだ召還できていないんだ。
「もう少し、多分まだレベルが低いから、あと数回でレベルが上がると思うんだ。」
もう一度精霊術・・・・今ロースに教えてもらって上がるスキルは精霊術。
精霊使いのユニークスキルに召喚があって、精霊術は主に使役の部分に関わってくるらしくって。
まあ精霊使いのジョブにしておけば、ユニークスキルも精霊術も双方何故か都合よくレベルが上がるんだけどね。
そしてこの精霊術、召喚した精霊を視認するのに必要なんだとか。
使役さえできれば誰の目にも触れる姿になるようだけど、未だ僕には見えないんです。
それ以前に見えないと使役できないという、今現在どうしたらいいんだ状態で、何とか脱却したい所。
・・・・
・・・
・・
・
あれから数度試した所、どうやらレベルが上がったようで、現在精霊術と精霊使いのレベルは2。
だけど、3つとも精霊使いにしているので、精霊使いのレベルは統合されて6に到達。
すると何だか体に違和感を覚え、こう何と言ったらいいのか、内から何か湧いてくるような感じ?そんな感覚があるんです。
【やっとあの子達が出られるわ!私はもう少しレベルが上がってくれないと無理だけど、あの子達を使役すればもう1つぐらいあっという間にレベルが上がるわ!】
もしかして今の声は相当格の高い精霊なのかな?
発する念からそんな感じがしないのは、もしかして残念な困ったちゃん?
【今考えちゃダメな事を考えたでしょ!】
いや言うまい。
そんな事を考えていると、ロースが注意をしてくれて。
「デルク!集中してよね!今デルクの周りには使役できそうな精霊が沢山いるわ!どう?感じる?」
さっきから違和感があるから、その事かな?
「何だか違和感があるんだ。」
「じゃあもう少しね!最初は分かりにくいのよ!だけど一度コツを掴めさえすれば、次からは精霊を見つけられるわよ!」
僕の事なのに、ロースも興奮しているみたい。
えっとどうしよう?
【ほら!気配を感じるのよ!あんたならできるわよ!】
気配・・・・確かに気配は感じるんだけど、それを視認しないといけないんだよね?
【仕方ないわね!少し手助けしてあげるわよ!感謝しなさいよね?】
これって自力で何とかしないといけないのじゃ?
【考えたら負けよ!さあ、手を差し伸べなさいよ!あの子達があんたの手に触れるから感じるのよ!!】
手・・・・僕は掌をじっと見ると・・・・うん?
今、何か掌がぶれた?
じっと見ると・・・・あ!何かがいる!
僕の反応が変わったのを見たロースが、
「今よデルク!見えているんだったらその精霊を使役して!」
使役ってどうしたら?
分からないけど見えている?何かをじっと見ると・・・・だんだんはっきりと見えてきて、何か今目が合った?
【えっとこれでいいのかな?僕の言葉がわかる?】
【きゃあ!声かけられちゃったあ!わかるわよデルクぅ♡さあっ!私を使役なさいな!】
【ごめんどうしたら?】
【私の名前は・・・・ないのよ。名前を付けてくれたらデルクの為に尽くしてあげる♡】
・・・・こんな感じなの?精霊の使役って。
【うーん・・・・君って水の精霊だよね?】
【そうよぉ♡】
【僕って名付けのセンスないから・・・・変な名前になっちゃったらゴメンね。】
【・・・・頑張って!】
・・・・どうしよう?
【じゃあアクアでどうかな?】
【・・・・私の名前はアクア。デルクの呼びかけに応じ、ここに顕現す!】
なんだか急に雰囲気が変わり・・・・
僕と同じぐらいの年齢に見える女性?が姿を現して・・・・
【えっと、精霊さん?】
【アクアですマスター。御命令を。】
命令とかどうしたら?このまま戻ってもらう?
【・・・・できれば何かきちんとした命令を頂きたいものですわ。】
戻ってもらうという選択肢はなさそう。
【じゃあ外の魔物と戦ってもらったりできる?無理は駄目だけど。】
【了解いたしましたマスター。】
え?大丈夫?
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