第154話 精霊に囲まれている?

【ほらもっと集中する!】

 いやだって君、誰?


 僕が精霊の気配を感じようとするたびに、何かが頭に語り掛けてくる感覚があります。

 なんだろう?

「ちょっとデルクどうしたの?」

「ああごめん、何かこう精霊の気配みたいな何かを感じた気がしたからね。」

「そうなの?まあ今は精霊を召喚できるところまでやっておかないとね。召喚できなければ使役できないしね。」


 ロースの指摘がある通り、精霊使いは精霊を使役するのだけど、使役するには精霊を召喚しておく必要があるわけで。


【別に召喚しなくても今いる精霊を使役すればいいのよ!】

 へ?どういう事?

【もう少し集中したら、あんただったら私達の姿を確認できるわよ!】


 よくわからないけれど謎の何かが伝えたい事は分かってはいるんです。

 ただ視認できない精霊を使役できない訳で。

 取り敢えず例によって3つともジョブを精霊使いにしちゃって、レベルを大幅に上げちゃおうか?


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 ロース監修のもと、精霊使いのジョブになり精霊の召喚を試みるも、最初は不発に終わり、何度か繰り返すも不発。

 ロースが見本を見せてくれ、もう一度試すと・・・・?

 おろ?何だか手のひらが濡れた?

 後何だかそよ風を体に感じる気がするけれど、精霊なの?


【もう少し!今他の子があんたの呼びかけに応じる事が出来たって喜んでいるし!今度は使役してあげてよ!】

 もしかして召喚できたって事?



「あれ?デルク、まさかと思うけど、もう精霊を召喚しちゃったの?」


「いや待ってロース。何だか確かに掌が濡れたし、そよ風みたいなのを感じるけれど、それだけだよ。もし召喚できたのだとしても姿が見えないし?」


「確かにそうね・・・・ってえ?何これ?ええとね、デルクの周りには今相当数の精霊がいるんだけど、そのうち2体がデルクの呼びかけに反応した感じかな?正確には反応したんじゃなく・・・・えっとなんだっけ、そう、干渉よ!やっとデルクの呼びかけに干渉できる精霊が・・・・ちょっと違うかな?デルクに干渉したくてもできなかったのが、ようやく2体だけ干渉できるようになった、が正しいかしら?」


 精霊から僕に干渉したがっているって事?

 で、僕はまだそれに応えられないとか?レベルが低いから。

 因みにデルクは未だかつて精霊の召喚に成功していない。先程手に触れた?と思われる精霊も既にデルクの傍に存在し、ようやく精霊からデルクに干渉できた所なのだ。


【さあその調子!どんどん繰り返し、早く私も干渉できるようになっときなさいよね!】

 うーん、相変わらず謎の声が聴こえるんだけど?


 そして僕はこの声に従い・・・・でいいのかな?何度も繰り返すうちに・・・・全身がずぶ濡れになって、でも気が付けばなんだか暖かくなって、濡れた服が乾いていきます。


「いい感じじゃないの!私1ヶ月ぐらいかかると思っていたのに、もう使役する手前まで来たようね!流石はデルク!!!!」


 うーん、全くそんな認識がないんだけどなあ。

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