第144話 Side セシル その2
私の戸惑いをよそに、私は導かれるがまま連れられてしまった。
新たな教母様と入浴。
今の教母様は、以前の教母様と違いまだ若い。
以前の教母様は50歳を超えておられたはずだが、今目の前にいらっしゃる教母様はまだ30歳になっていないはず。
女の私から見ても羨むほど美人で、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる。
腰回りの細さは何?
どうしてこの方は教母様になったのだろう?これだけ素晴らしい美貌の持ち主であれば、貴族の側室になれたのでは?
私は思わず聞いてしまった。
「子が産めない身体なのですよ。」
詳しくは教えてもらえなかったが、若い頃巡回中に襲われ、その時に子が産めない身体になったそうだ。
一体何が起こったのか。
その事があって彼女は修道院へやってくる子供を我が子のように思い接してきたのだとか。
なので教母様は私にうってつけなのよ?と言っている。
だが・・・・神聖騎士を極めれば回復魔法で治療ができないのだろうか?
今度試してみよう。
そして私の貧相な体と比べてしまうと・・・・比べるべくもない。
「まあセシル、貴女なんてきれいな肌なのでしょう?それにとっても素晴らしい美貌ね?今はまだ可愛らしさが勝っているけれど、後5年も経てばセシルの素晴らしい美貌に振り向かない男性はいないわ。それによくぞここまで髪の毛を伸ばす事が出来たわね!素敵すぎるわ!」
「何を言っているのですか教母様。私は以前から醜女と言われ続けてまいりました。以前の教母様にも言われました。なので神聖騎士の鎧とヘルメットはありがたかった。それにヘルメットを外せなかったので髪の毛は御覧のあり様なのです。」
「はあ・・・・セシルちゃん?貴女のお顔はそれはとても素晴らしい造形よ。自信を持ちなさい。どうせ明日は待ち合わせでしょ?しっかりコーディネイトしてあげるので、出かけてらっしゃいな。髪の毛は少し揃えればいいわね!」
本当に?
信じられないがもう3年程経ったから、以前の私を知る人がいたとして、今の私を見て私と認識できないだろう。騙されたと思って教母様の言う通りにしよう。
この後食事をし、以前の私が使用していた部屋はそのままにしていて下さったので、有り難く使わせていただいた。
そして食事の前に換金できそうなものを少々教母様にお渡しし、現金に変えて頂く様お願いをし、とても喜ばれた。
・・・・
・・・
・・
・
朝になり、身支度を整え食事を終えると、教母様に呼ばれ部屋に向かうと入るよう言われ部屋に入る。
すると教母様は私に多額の現金を手渡してくれる。
「セシルありがとう。修道院はこのお金で暫くは安泰でしょう。半分は有り難く受け取りますが、残りは貴女が管理しなさい。暫くして落ち着いて、もしまた寄付をして下さるのであれば有り難く受け取りますが、今は個人でしっかり持っておきなさい。それと・・・・これにお着替えなさい。」
今の教母様はお金の事になると厳しくなるようだ。
それも私の為になると言う良い意味で。
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