第140話 宿の確保

 3年程街を離れていたのですが、改めて見ると何だか街並みがすっかり変わってしまったような気がします。


 主要な建物・・・・ギルドとか大きなお店はそのままなのですが、なんていうのかな?街の雰囲気が変わってしまったような気がします。


 そんな中僕が選定を受けるまで色々お世話になった宿が見えてきたので、部屋が開いているかどうか確認しようと中に入ります。


「いらっしゃい!泊まりかい・・・・っておろ?お前何処かで見た事があるような気がするが誰だっけな?」

「おやっさん、僕ですデルクです。」


 あれ?もしかして名乗るのはよくなかった?でもさっきヴィーベさんとリニさんは街中での振る舞いとか何も言わなかったから問題ないよね?


「あ?へ?デルクだあ?はあ?いやまさか・・・・あいつは3年前ダンジョンの大穴から落っこちて死んだはず・・・・いやでもな・・・・何となく面影が・・・・え?まさか?」


「そのデルクですよおやっさん。僕はつい先程生きてダンジョンを脱出できたんです。僕は確かにダンジョンの大穴から落ちましたが、魔法を駆使して運良く死なずに安全地帯へ逃れたんですよ。」


「お!おお!そうかそうか!それは良かった!3年前は確か教会の連中が酷かったからなあ!デルクの事があったから数年前の出来事でも、あれは鮮明に覚えていたんだよ!ああ今は遊び人に関して迫害を受けるとかは無いから安心するこった!おーいお前!デルクだ!デルクが戻ってきたぞおおお!!!!」


 ああ、おやっさんが消えた・・・・


 そうしたらおやっさんの奥さんがやってきて・・・・こう言っては申し訳ないけれど、どうやっておやっさんこんな綺麗で素敵な奥さんと結婚できたんだろう。小柄な、そして何度も言いますがとても綺麗な女の人が、小さな子供を抱っこしながらやってきて、


「え?デルク!・・・・確かにそんな目をしているわね!よかったわ!デルクがいなくなって皆心配したんだよ!今日は泊まっていくの?デルクはトゥーニス様の所でお世話になっていたんでしょ?あの方今じゃ伯爵様なのよ!!王都で王様の補佐してるから居ないのよね。」

 え?え?トゥーニスさんって確か準男爵だったんじゃ?


「ええ?えっと確かトゥーニスさんって準男爵でしたよね?いきなり伯爵ですか?男爵・子爵をすっ飛ばして?」


「まあその辺りは知らないんだけどさ、教会の勢力に勝利し、この国では教会の役割を本来あるべき姿へ戻す事が出来てね、その立役者だからって伯爵まで一気になったんじゃなかったかしら?」

「確かそんなんだったな。まあおかげでこの街も住みやすくなったってなもんだ。」


 この後も雑談をしていましたが、別の宿泊希望者がやってきたので、僕はとりあえず1週間程泊まる事にし、お金を払い部屋に向かいました。


 僕がダンジョンにいた3年の間にかなりの変化があったようですね。

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