第131話 毛糸のパンツ 3
デルクとセシルは長い時間を共に過ごし、もはやダンジョンでどれほど過ごしたのか把握していない。
それに遅れる事約1年、レイナウトとロースもダンジョンで長い時間を過ごした。
この2人も時間の感覚を把握してしきれておらず、ようやくダンジョンを出たものの実に数年が過ぎ、3人はもうすぐ15歳、セシルも今は14歳となっていた。
しかしステータスを確認する時に、レベルやスキルは重視していたのに、年齢は全く気にしていないとかどうなの?
と誰かに突っ込みを入れられそうだけれど、はて誰だっけ?
デルクは忘れてはいけない何かをすっかり忘れているような気がして、
「セシル、何だか忘れてはいけない何かを忘れた気がするんだけど、何だろうね?」
そんな事を聞かれてもわかるはずもなく、困惑するセシル。
しかし今日のセシルは冴えていた!
「デルク、ダンジョンに入ってから収納かばんに色々入れたと思うけれど、入れた順番がわかるなら、古いのから出してみたら?」
成程そうやって中身を見ながら思い出すのか。流石セシル!
本来ならもっと簡単に思い出せそうなのだが、テンションの上がっているデルクは、思い出せないままセシルの言葉に従い、色々出していく。
「ロープにポーション、非常食・・・・」
特に代わり映えのしないアイテム。
そしてその後は・・・・
「ドロップアイテムだね。果物にお肉。それと・・・・あれ?なんだろうこの塊。」
実際ダンジョンの中を逃げ回っている時に躓いたものなのだが、もうすっかり忘れている。
そして・・・・
「あ、ロープが・・・・?何これ毛糸?」
「あ!」
セシルがその毛糸を見て思い出す。
「それ、私が落ちた時デルクが使用していたロープの一部。」
デルクはロープを見るけど、何かを思い出せそうで思い出せない。
「何だっけ?これ一応修復してみようかな?」
ダンジョンでの修復作業を行ったら、何故かジョブが修復師になっていて、修復スキルが手に入っていたデルク。
「やったほうがいい。」
セシルの勧めもあり、修復を。
すると、何やら形が出来上がっていくが・・・・
「え?え?パンツ?」
セシルは修復し終わった【毛糸のパンツ】をデルクから半ば奪うように受け取ると、
【毛糸のパンツ。スカートの時、冷えない。】
・・・・うーん、何だろう?
これを穿いているリニさんがヴィーベさんに、
「馬鹿ヴィーベ!あほ!」
とか言っているのが思い浮かぶ・・・・
リニさん?ヴィーベさん?
・・・・うーん・・・・む・・・・
「あ!何で僕はこんな大事な事を忘れてたんだろう!そうだリニさんとヴィーベさん、あれから無事ダンジョンを脱出できたのかな?」
こうして毛糸のパンツは最後の使命を果たした。
リニとヴィーベを救い、最後はデルクの記憶を呼び起こすきっかけとなる。
やはり毛糸のパンツは世界を・・・・それは言いすぎだけれども、救う!だ!!
こうして世話になった先輩達の存在を忘れてしまっていたデルクに再び思いだすきっかけを作った毛糸のパンツ。
「これ穿いていた人生きているかな?」
「大丈夫さ。さ、カバンに仕舞っておくよ。戻ろう、街へ。」
新たな仲間と共に 編 完了。
次回より新章になります。
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