第84話 ステータスの急激な変化に身体が付いていってない

 折角レベル12みなったうえに、ステータスがプラス5、つまり最低のFでもAになっちゃう。

 そしてその急激な変化に心と体が付いていけていないんです。


 折角強い力を手に入れたというのに、これでは宝の持ち腐れです。


 いや手に入れた、と言うのはこの力を制御出来てからですね。

 このままでは下層へ向かっても、力を発揮しないまま死んでしまいます。


「セシルありがとう。落ち着いたよ。それと今後の課題が見えてきたし、これが使えるようになるかどうかは今後の検証とレベルアップ次第。」

「落ち着いたならいい。」


 あ、どっか行っちゃった。

「はあ、デルク・・・・彼女を心配させたら駄目じゃない!」


 ロースがそこまで怒るって珍しい。

「いやあ、心配かけちゃったみたい。だけどこの力をものにしないと何時まで経ってもダンジョンから脱出できなさそうだからね。」


 うーん、後何が必要だろう。


「デルク、まだまだ時間はあるさ。きっと10年経ってもここには誰もやってこやしないから。」


「いや、幾らなんでも10年は長すぎるよ。出来るだけ早く戻りたいね。もう数ヶ月(実際には約1年)籠っているんだ。いい加減セシルを解放してあげたい。彼女には酷すぎる。」


「まあそれを言ったらロースもそうなんだけどさ。だけどこのままダンジョンを脱出できたとして、その後どうなる?俺やロースは明らかに突き落とされたし、セシルもだろう?デルクに至ってはあからさまに追われていて、最後にはセシルをぶつけられた。そこまでするんだ、きっと今のままではあっという間に殺される。だからもっと力をつけておかないと。だけど今のデルクには荷が重い。その力は徐々に慣れさせないといけない。」


 わかっているけどね。


「レイナウトの言いたい事はわかるよ。まずはこのジョブを統合するという行為、これが僕の体になじむかどうかじっくりと試行錯誤しながらいい方法を見つけるよ。それに戦士だけじゃないからね。生産職も試さないと。ああ、魔法使いのジョブも試して・・・・いや、それぞれレベル3を4にした方がいいかな。」


 このまま何度も試すのは心配な事もあって、戦士・魔法使い・ヒーラーのジョブをそれぞれアップする事にしました。


 そしてそれは半日、と言うか食事が済んでから次の食事までの間。


 そして最後は完全に生産。他の3人には引き続き囲いでのレベリングを続けてもらいます。


 生産に関しては、取り敢えず収納かばんが高性能なのを作れるようになったので、次に目指すのは武器。

 それもいきなりロングソードのような大振りでも、ショートソードのような取り回しのきく、扱いやすい武器でもなく、短剣。


 これはちょっとした狙いがあって、短剣なら素材もそれほど使いませんし、早く加工できます。

 そして短剣は投げて使う事が出来ます。


 剣術もそうですが、投擲スキルを使えるようにしたいんです。

 最初は短剣を投げてレベルアップをしたい考え。

 そしてそれには短剣が必要。それも大量に。


 丁度鍛冶スキルを鍛えるのに、短剣を大量に打つのが効率がよさそうなのもあって選びました。そしていつかは魔剣を。

 ただそれにはしっかりとした剣が必要です。

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