第85話 短剣の大量生産で、鍛冶スキルをレベルアップ

 3人を見送った後、鍛冶スキルを上げるため炉の設置を行います。

 ロングソードは厳しいですが、短剣だったら今から設置する炉で充分。


 耐火煉瓦を組んで炉を組み立てるのですが、予めいくつかの部品に分けて収納しているので、組むのはそれほど時間はかかりません。


 そうは言ってもなかなか重いので、1つ10キロほどに分けています。


 炉を組んだら土魔法で仕上げていきます。


 で、火をおこします。


 ちゃんとした炉の場合、火を燃やすのに苦労しますがここは魔法でのごり押し。

 魔法を切らさないようにし、さらに鉄を入れていきます。


 予め溶けやすいよう薄いインゴットにしているので、あっという間に鉄が溶けます。


 因みに短剣は鋳型に鉄を流し込んで、形成していきます。

 短剣は投げられたらいいので、普通はしないのですが型に鉄を流し込む制作方法を用います。普通の鍛冶とは段取りが違いますけれども気にしません。


 で、ある程度冷えたら金床に短剣を置き、槌でたたいていきます。


 気が付けば3人は戻っていましたけど、既に大量の短剣が出来上がっています。


 因みに鉄を鋳型に流し込むまでは魔法を使うので、ジョブは魔法使い。

 その後に鍛冶師へジョブチェンジ。


 3つのジョブを全部鍛冶にするとどうなるか疑問でしたが、それぞれレベルが上がって、途中から剣を打つ速度が目に見えて早くなったのを実感しました。


「デルク、何だいこの短剣は。凄い数だ。」


 あきれたようにレイナウトが僕に言います。

「え?ええと・・・・うわ、僕ってこんなに打っていたの?」


 10振りぐらいと思っていたんだけど、どうやら50振りぐらいあるようです。

「これ全部デルクが作ったの?」


 ロースはただただ驚いてるようです。

「剣は作るじゃなく打つだね。因みに数え方は一振り二振りだよ。」


「そんなのどうでもいいわ。これどうするのよ?」

「ああ、これを全員で投げてもらうつもりだよ。」

「投げるの?」


「うん。剣術と投擲のスキルが上がるはず。そしてどんどん打つからね、使い捨てでいいんだよ。数打てば鍛冶スキルも上がるし。」


 セシルがナイフを一振り手にします。


「持ちやすい。」


 そして何度も剣を手にして振ってます。

「重さも形状もちょうどいい。」


 セシルのお目にかなったようです。

「ちょっと投げさせてくれ。」


 レイナウトが僕の短剣を一振り手にし、階段めがけて投げます。

 あ、壁に刺さった。


「うわ、これ凄いな。投げやすい。狙った所にちゃんと当たったよ。」


 ああよかった。

「じゃあ次にレベリングする時は、魚相手に短剣を投げてみて。僕もするけど。」


 僕は4等分にして短剣を全員に持たせます。

「また打つから、全部投げちゃって。」


 どんどん鍛冶スキルを上げていかないとね。

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