第69話 囲いの改善 

 塩を手に入れ食糧事情もよくなったので、僕とセシルは魚のエリアで積極的にレベル上げを実行しています。


 セシルの職業はレベルが上がりにくいので、僕の方は遊び人のジョブチェンジを行使し、色々な職業になって挑んでいます。これでお互いバランスが取れているのかな?


 魚を仕留めた時にジョブチェンジしている職業のみ経験値が入るようなので、3つの職業をそれぞれその都度変更し、まんべんなく上げていきます。


 セシルのレベルは今現在5です。


 僕は遊び人のジョブを3つ得ていますが、レベルはそれぞれ6になりました。


 ここまでレベルが上がれば日に何度も職種を変更できるので、今後は今まであまり上げていなかった職業のレベル上げです。


 万が一また人間に襲われても対処できるよう戦士の職業と、魔法使いの職業を主に上げていきます。

 そして残りの1つは生産職。


「デルク、今度は此処が駄目。」


 セシルが囲いを指摘してくれます。


 2代目の囲いは、初代の囲いが魚の突撃に耐えられなくなって壊れた事を踏まえ、尤も脆かった箇所を補強しました。

 しかし今度は別の場所に負担が。

 何せ下層の魚が突撃するのです。

 直撃すれば恐らく今の僕でも大怪我間違いなし。

 もしかしたら即死の可能性があるほどの勢いです。

 その突撃を囲いは受け止め、しかも切り刻んでいくのです。

 魚が刃に突撃してくれればいいのですけど、どうしても構造上刃を設ける事が出来ない部分があります。


 そこに魚が何度もぶつかり、そのうちその部分が弱くなり、最終的には破壊されてしまいます。

 そして今回作成した2代目囲い、1ヶ月程もったのですが、ついに壊れてしまいました。


 尤も限界を感じた時点で魚のエリアからは引き上げていたので、魚に対し無防備となる事はなかったのですが。


「セシル、どうしようねこれ。」


 壊れた個所を2人してにらめっこ。


 今度は角。

 角ばかりはどうしようもないんです。


「何かとがったのをくっつけたら?」


 突起ですか?


 突起に刺さればいいですが、突起ではない部分にぶつかってしまうとやはり結果は同じなんですけどね。


 それと過去に酷い事になったあの出来事。

 上からの落下物というか、たぶん人が降ってきたと思われるのですが、それの対策もしておきたい所です。

 一応魚は囲いの上には突進してきません。

 まあ囲いが転倒してしまえばその限りではないのですが。

 今回は囲いの上側に、クッションのような何かを設けてみようかと。

 大穴を囲いで移動中に、上から何かが落下してきた場合、今までの囲いですとぶつかった衝撃で制御を失い、しかも衝突してきた何かは囲いに衝突した時にほぼ間違いなく死んでしまうでしょう。

 前回の時も多分即死。

 これを何とかしたいのですが、現状では出来る事が限られてしまいます。

 後々は大穴に網を設け、落下した何かを受け止め、人間であれば助け、魔物であれば仕留めたい所です。

 その全てに対応できるのは限りなく不可能に近いですし、上から落下してくる人を助けるとなると、それこそ確率的に殆どないので難しいでしょう。


「それは考えたけど厳しいかな。角も補強して様子をみるよ。それと上からの落下物へ対応できるように少し何かしら備えないと。」


 こうして3代目が出来上がったのですが、3代目は短命に終わってしまいました。


 今回は3代目を魚の突撃に耐えられるかを試す前に、根菜のある階層で芋を採取したかったので、上の階層を目指す事になりました。

 何故かいました方が良いという気になったんです。

 こういう時はそう言った直感に従う方がいいと今までの経験から・・・・尤も良い事はあっても悪くなった事は今まで無かったのでそうしているだけですけれど。


 そしてボス部屋を通らないで行くには大穴を使うしかなく、大穴から魔法で徐々に上昇しつつ向かっていました。


 しかし、そこでまたしてもトラブルが。


 あと少しで根菜エリアという時、またもや人?と思われる何かが大穴を落下。

 そして落下物が見事に囲いに衝突。

 場所が悪かったのか囲いは破損し、落下してしまいます。

 それも複数の衝撃があったような感じです。もしかしたら最初の衝撃は問題なく、その後の衝撃に問題が?


 うう、せっかく対応できたと思ったのに、衝突した場所が悪かったようです。

 今回は天井のクッション部分に落下してくれたようで、何とか囲いの制御は保たれました。

 直感、外れたかなあ?

 その後何とか移動し、何処かの階層に降り立つ事が出来ました。


 最初に警戒するのは魔物エリアかどうか。


 万が一魔物エリアだと大変な事になります。


「デ、デルク、何かいる!」


「うわ、もしかして魔物エリア?」


 これはまずいです。

 囲いも破損し、正常な機能をしていなさそう。

 そして魔物エリアですが、まだ僕達2人では太刀打ちできないはずです。

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