第61話 謎の素材の確保と、魚の魔物への対策
僕は鑑定できなかった素材を確保すべく、ジョブを魔術師にします。
そして土魔術や風魔術、水魔術と使い分けて謎の素材を確保していきます。
それほど量はなかったようで、恐らくはショートソードなら4振り分ぐらいを確保できたかな、というぐらいしかなかったようです。
ロングソードだと何とか2振り。それも細身だったら辛うじて、という具合。
しかし何だろう?鑑定できない素材って。
商人のジョブが上がり、鑑定スキルをもっとレベルアップすればわかるのかな?
そしてこの周りには意外な事にミスリルが多くあるようで、ミスリルを大量に確保できました。
そして食事をしますが、ここにきてほぼ塩が尽きました。
塩が尽きたと言っても、今すぐ生死に関わりがある訳ではないので、僕は今からある道具を作成する事にしました。
可能性として魚の居るエリア、そこに塩があるんじゃないかとあたりをつけているので、そこで行動をできるように囲いを作る考えです。
僕はセシルに説明をします。
簡単に言えば檻みたいな物を作り、その中に僕とセシルが入り、檻みたいな囲いの中で安全を確保、魚のいるエリアを進んでいくというものです。
実際魚はあのエリアを高速で泳いでいるので、魚が泳いでいる進路上に入ってしまえば、例外なく魚にぶつかってしまいます。
恐ろしく速いので、ぶつかってしまえば無事では済まないでしょう。
空中なのに泳ぐとはどうかと思いますが、他に表現のしようがありません。
それに素早すぎて、視認した時にはもう手遅れ。
それが進路から僅かでも外れていれば助かりますが、もし進路上に僕達が入ってしまえば避けられません。
例えるなら10メートル程の距離から放たれる矢を、放たれてから視認した場合、避けられるか?と言う感覚だと思います。
100メートルなら距離があるので避けられる可能性はありますが、10メートルなら一瞬です。
話がそれました。なので、対処方法として考えたのは敢えて囲いに魚がぶつかるようにしてしまおうと。
で、持ち手は囲いの中に設け、その持ち手を持って移動するというもの。
四方を鋭利な何かで作り魚が囲いにぶつかれば、その鋭利な囲いで魚は切断、囲いの中に侵入するのは切れた魚だけになるはず。
四方と言うか囲いの棒を構成する部分は、外側全て鋭利にして加工しました。
そして恐らくドロップアイテムは囲いの下に落ちるでしょうし。もし進路先に塩を発見できれば囲いの一部を開け、塩を採取というのか採掘というべきか塩を手に入れる、という算段です。
床を歩く必要がありますし、恐らく魚は床から上には泳いでこないので、つまり地面からは沸いてこない、という意味ですが。
床は歩くスペースを確保、そして天井は完全にふさいでしまいます。
この道具を作成するのに僕はセシルと共に休憩できる場所まで戻り、そこで炉を用意しました。
僕の収納カバンに入っている部品を出し、組み立てます。
炉が完成し、主に鉄を溶かしていきます。
主要な部品は鉄、そして刃物にはミスリルを使います。
何て贅沢なんだと思いますけど、今ある素材を有効活用するにはこれが一番とこの時は思ったからです。
謎の素材を使いたかったのですが、謎なのでどのような使い方ができるかわからないので、この素材は僕の鑑定スキル、つまりは商人のレベルが上がるまでは放置になりそうです。
今のレベルでは確認できないので、とんでもない素材なのでは?と期待してしまいます。
そして素材を溶かし、成型を行います。
鉄は棒状にし、これで骨組みを作ります。
持ち手になる部分も鉄。
重くなりますが仕方ありません。
そして骨組みができればそこにミスリルの刃を仕込んでいきます。
魚がこの囲いにぶつかる部分は全てミスリルの刃になっていて、勢いよく当たればその勢いで切り刻まれてしまうという、考えようによっては恐ろしい道具です。
まあこれは対人には意味を成さないと思うので、魚だけに考えられた対応になります。
そしてスキルのせいか、あっという間に完成します。
「セシル、入ってみて。」
僕は自分で作ったので、使い方が分かります。
しかしセシルはそうではありません。今後の事を考えると、敢えてセシルに試してもらいたいのです。
いざという時、自分で脱出する必要があるので、ここでしっかりと使いこなしてもらおうと思って。
「これを開けるのか。」
「そう。やってみて。」
出入り口は一応2か所あります。
万が一何かあった時に、出口が一つでは、そこが塞がれてしまった場合どうにもならなくなるからです。
入り口は中から簡単な施錠ができるようにし、スライドをさせて開くようになっています。
「なるほど、よく考えているな。」
セシルの反応は良さそうです。
「少し歩いて、良さそうなら早速魚のエリアで使ってみるよ。」
「わかった。」
結局2人で入って歩いてみて問題がなさそうだったので、早速活用すべく行動を開始します。
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