第39話 時間制限が?

 オークが暴れているけれど、身動きが取れないのでこちらが襲われる事は多分

 ないはず。

「ちょっと休もうぜ。」

 そう言ってヴィーベさんは水筒を取り出し、喉を潤わせています。

「フウ!生き返るぜ!ずっと走りっぱなし緊張しっぱなしだったからな!ほらリニ、お前も飲んどけ!」

 そう言ってリニさんに水筒を渡すヴィーべさん。

「あらヴィーベの癖に気が利くわね!」

 そう言って受け取った水筒の水を飲むリニさん。

「あ!」

【こ・・・・これって間接キスよね・・・・ど・・・・どうしよ!】

 口に付けたままリニさんは固まっています。

 どうしたのでしょう?

 まあ僕も自分のカバンから水筒を取り出し、飲みます。

「僕も喉が乾いていたんですよ。」


 それに走りっぱなしで足もガクガク。

 オークには悪いけれど、暫くはこのままですね。


 僕達3人が一息ついていた所、どうやら15層の入り口に、他の冒険者・・・・たぶん追っ手でしょう・・・・が、入り口をどんどん叩いています。

「は!ざまあみろってんだ!」


 ヴィーベさんそんな事を言ってますが・・・・


 しかし、それは突然変わりました。


 天井からまばゆい光が辺り一面を照らし始め、

【警告:10分以内に決着をつけて下さい。決着がつかない場合、この部屋全ての生命は活動を停止するでしょう。】


 という音声が流れはじめます。

 え?どういう事?

「ね・・・・ねえ今の聞いた?」

「聞いた・・・・ってどういうこった?」

 リニさんとヴィーベさんは狼狽えています。

「今・・・・10分以内に決着がつかなければ、この部屋全ての生命は活動が停止するって・・・・」

 僕はヴィーベさん達に先ほどの言葉を念押しで伝えます。


「へ!というかやばいぞ!仕方ねえ・・・・オークを仕留めとくぞ!」


 ヴィーベさんは剣を手に取り、オークの首を落とします。

 そして何か魔石と玉?がドロップします。

「リニ、回収しとけ。先に・・・・行くぞ!ここを出たら、追っ手もボスと戦闘だろう。暫くは時間があるはずだ。」


「玉・・・・これ睾丸じゃない!なんて物を女の子に回収させるのよ!」

「つうか睾丸なんて触りたくねえし!」

「私も嫌よ!」


「そういう事でしたら・・・・僕が拾っておきますね。」


 時間がないのでさっさと回収します。

「・・・・よく触れるな?」

「ドロップアイテムでしょ?」

「そうなんだけどな・・・・まあいいや、せっかくデルクが回収してくれたんだ、ここを出るまで持っとけよ。さて・・・・気は進まねえけどよ、先に進むか。」


 僕達はボス部屋を後にします。

 オークを仕留め、ドロップアイテムが出現した時に、出口が開いたんです。

 そして、進む僕達。

 よくわからない追手がいなければいいのですけれど・・・・追っ手ではなく襲撃者ですね。追っ手は今、ボス部屋に入ろうとしているでしょうし。

 警戒しないといけないのは先回り。

 可能性は・・・・あるよね?

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