まさかの職業【遊び人】に！ だけど成長したらどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした！

第8話 親友との別れ

　遂に僕は家を出たのですが、暫く進むと２人の男女がこっそり待ち伏せていました。

　僕を手招きをするのでそちらに向かうと、

「すまないデルク、僕は君を見捨ててしまった。」

　因みに彼は魔法戦士を引き当てた、今回の選定でも特にいい職業を引いたメンバーの一人です。

「仕方ないよ。まさか遊び人と一緒に行動する訳にはいかないしね。」

「本当にすまん。折角一緒のパーティーになれると思ったのだが。」

「気にしなくていいさ。まあ大人になって、僕を見る目が変わって受け入れられるようなら、パーティに誘ってくれたらいいよ。まあお互い先ずは15歳まで生き残らないとね、レイナウト、そしてロース。」

「ごめんな。」

　彼の名はレイナウト・モレナール

　一番の親友で、彼は僕より相当賢いと思っている。

　そして折角いい職業を引いた彼も、成長速度が遅い職業だった事もあり、やがてパーティーを組んでも、荷物扱いになり追い出される運命にあった。

　そしてもう一人。

　レイナウトの事が好きな女の子、ロース・ランブレヘツ

　彼女は精霊使いという、やはりレアな職業を引き当て将来を有望視されていました。

　やはりレイナウトと同じパーティーに入ったがいいが、あまり見かけない職業故に持てあまされ、最終的には使えないとパーティーをレイナウト共々追放される事になる。しかし今は３人とも知る由もない。

「私もごめんね。」

「またいつか再会できるといいね。」

　本来なら一緒に行動すべき親友達なだけに、こうしてこっそりお別れをしないといけないのが無性に悲しくなりました。

「しかしデルク、家を追い出されたんじゃないのか？これからどうするんだ？」

「その事だけどね、今まで少しだけどお金を蓄えてあるんだ。数日は宿で過ごす事ができるから、その間に身の振り方を決めるさ。万が一の事を考えて色々計画はしてあったんだ。流石に遊び人になるとは思わなかったけれど。」

「でもデルクの事だから、遊び人になってしまった時の事も考えてたんじゃないの？」

「うん。この街の遊び人の何人かとは話をした事があるんだよ。皆一癖も二癖もある連中だったけど、最終的には彼らを頼ってみようと思うんだよ。基本僕達見習いは、街に同じ職業の大人がいれば、弟子入りできるって話だからね。」

「しかし遊び人に弟子入りか。君は僕以上に賢いから、世間の言う遊び人にはならないと思うけど。」

「僕もそうなるつもりはないさ。まあ、遊び人という職業にも何かあるんじゃないかとは思ってるから。いつかきっと僕を馬鹿にした連中に対して見返してやりたいぐらいには思ってるからね。見返せたらいいなあ。」

　そんな事を話していると遠くから人の気配がします。

「デルク！人が来るわ！」

「うん。レイナウト、ロース、もっと話をしたいけど、ここでお別れだ。それと、急いで地面の石を拾って。そして僕が去ったら拾った石を僕に向かって投げるんだ。きっと僕と一緒に居たら、君達も僕と同じようにみられるからさ。」

　レイナウトとロースは地面の石を拾いつつ、

「デルク元気でな！」

「また会えるといいわね！」

「ああ、二人ともまたどこかで再会しよう！」

　こうして僕はこの場から離れると、すぐに石が飛んできました。２人供ワザと狙いを外してくれましたが、どうやら僕がこの付近にいるのを見たのか、何人か引き連れた連中がさらに後方で何か言っています。

　僕は急いでこの場を去りました。