第24話
帰りの電車は少し込み合っていて、俺らは電車の出入り口を付近に乗車する。出発直前目の前の窓ガラスからコンコンと人がノックするような音が聞こえた。
「あみちゃん、今窓からコンコンって音が聞こえたよね?」
「それ、お化けの女の子がやってたやつ。さめちゃんに向けてやったみたい。何かどこかで見たことあるんだよね…。」
地元まで到着し、いつも通りファミレス時間を潰す。
「さっきの女の子、また来てる。」
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「ふーん、あんたか次の体。かわいそうに。」
「??どういうこと?…さっきホームで窓叩いたよね?どこかで見たことあると思ったけど、もしかしてマジ恐で失踪した子?」
「あぁ、ミホが投稿したって言ってたっけ。採用されたんだ。私有名人じゃん!でもあれに出てくる人ってみんなモザイクかかってなかったっけ?良くわかったね。」
二人を訪ねてきたのはマジ恐で失踪した篠田ユキだ。
「ババアの分身消したでしょ?復活させるのに少し時間がかかるから、私に監視しとけってさ。」
篠田は二人の席の向いに座り、すでに座っていた客のパフェを掴んで持ち上げると半透明のパフェが現れた。それを食べながら話を続ける。
「あの気持ち悪いお経みたいな声聞こえてるんでしょ?あれが聞こえてたらもう終わりだよ。ババアからは逃げられない。」
「あの人の目的ってなんなの?このお経みたいなやつ、本当にうっとうしい。頭おかしくなりそう。」
「あんたの体が欲しいんだよ。誰かを復活させたいらしいよ。それにあんたも私も巻き込まれたってわけ。お化けが見えたり操りやつそうな人を手当たり次第にターゲットしてるみたいね。」
「あなたは結局どうなったの…?」
「私?あのクソババア私を殺したくせに、体はすぐ捨てやがった。それにミホまで…。」
「ミホ…?」
「とにかくあんたたち、変な動きするんじゃないよ。何かあったら私らの身が危ないんだから。」
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「この子あれだ、マジ恐に出てきた失踪した子、篠田って子!」
「何で着いて来てるの!?」
「ババアの分身が復活するまでの代わりだって。」
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「普通に話してるけど、あんた相当力あるみたいだね。ババアもそりゃ見逃せるわけ無いか。あんたが今までで一番の上物っぽいし。早くその体あけ渡してね。」
あみは篠田の目をじっと見つめ集中し始めた。
「頑張ったんだね、今も…。」
あみの頭に篠田の記憶が走馬灯のように入り込んでくる。
ババアに狙われ、伊豆にあるババアが住んでいた廃墟まで足を運ばせよう精神を操ろうとしてくる。毎日ゴニョゴニョが聞こえてノイローゼ、気味の悪いババアに着けられ時には引っ張られるがどうにか踏ん張る。誰にも相談できないし、相談したところでどうせ信じてももらえない。
心が折れる寸前に友達に相談してみようと電話をしてみるが繋がらず、留守番電話を入れるがそこで考え方を変える。私は殺される。だったら私がどれだけ頑張って来たか映像で記録を残そう。ただじゃ死なない。ミホだけにはわかってほしい…。
「だからあんな映像撮り続けてたんだ。」
「あんた人の記憶読めるんだ。すげー!まあ、あんなの撮らなきゃ良かったって今は後悔してるけど。とりま、悪いけどそのうちあんたも廃墟に自ら行くことになる。なる早で頼むわ。んで、あのおっさんとおばさん何?」
パフェのスプーンで指した方向に居るのは平和教の2人。
「あぁ、平和教っていう宗教の人。あの人たちも私がほしいんだって。」
「はぁっ!?ライバルじゃん!!」
篠田は両手でテーブルを叩きながらそのまま立ち上がると、ベムとよしえに詰め寄る。しかしまったく相手にされていない。
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