第22話

お互いお風呂も済ませて、おやつを広げでDVDを見始める。最初の方は単発系の心霊映像がいくつか。そのあとは心霊現象を追うようなドキュメンタリーの構成。


そのドキュメンタリーのほうが怖面白い!一人の女の子がある時から様子がおかしくなり、その子が電話を友達にかけていた時の留守電録音が残っており、その子の後ろから男の人の低い声でお経?の様なゴニョゴニョ言っているものが紛れ込んで聞こえている。怖いし気持ち悪い。この子は呪われちゃったってこと?


結局その女の子は失踪してしまうが、女の子は自分の事を映像で記録し続けていた様。失踪する前に友達に自分の記録映像を送り付けていた。


その映像の中に突然、白髪で頭爆発しすぎて髪の毛で目が見えなくなってるヤマンバの様なお婆さんが正面を向いている映像が紛れ込む。


「お前の体にしよう。」


と、お婆さんが発したところでDVDは終わった。これ本物!?本物だったやばすぎ。さすがにやらせだよね。


「お前の体にしようだって!こわー!どういうことなんだろうね!!」


「え!お前の体に決めたじゃなかったっけ??」


「ちゃうちゃう、確実にお前の体にしょうだったってー!まあいいや。明日は早いしそろそろ寝ようか。」


深夜2時。なぜかなかなか寝付けない。隣のベットではあみちゃんが普通に寝ている。と思いきやいきなり上半身をムクっと起き上がらせた。トイレでも行くのかな。


監視していると目をつむったまま立ち上がろうとしている。嫌な予感がする。


「あみちゃん、どこいくの?」


問いかけにも反応しない。これは車の時と同じパターンだ。操られてる。そのまま立ち上がり部屋の出口の方へ向かい始める。すかさず手を引っ張って無理やりベッドに押し倒す。


目をつむり真顔のまま物凄い力で抵抗してくる。どうしてもこの部屋から出て行きたいみたいだ。とっさに俺は暴れるあみちゃんの手を握りながら真言を唱える。


「のうまくさんまんだあ ばあざらだんせんだあ まあかろしゃあだあ そわたやうんたらたあかんまん!のうまくさんまんだあ…」


何回も何回も唱え続ける。さながらレスリングでもしているような状態だ。あみちゃんに馬乗りになれるような状態をキープすることが出来、手を握ったまま真言を唱える。


握った手を放そうとあみちゃんは頑張って抵抗したが、突然力が一気に抜けそのまま寝てしまった…。


「ゼェハァゼェハァ…。良し、俺の勝利だ…。」


勝利と引き換えに俺の手足にはあみちゃんに引っかかれた傷が残る。頼む、爪を切ってくれ…。


朝が訪れる。俺もそのまま疲れ果てて寝てしまったようだ。気を取り直して出発!昨日と同じように伊勢原駅から大山行きのバスに乗り込んだ。道中あみちゃんに肩を叩かれる。


「やばいかも。昨日のDVDのババア着いて来てる。」


!!え…??やばいかもって…え!!??思わず二度見してしまった。


「昨日さ、最後に婆さんが映った時、がっつり目が合って離せなくなったんだよね。そうしたらお前の体に決めたって言われて。あと昨日の男の人の低い声の気持ち悪いお経みたいなゴニョゴニョ?それがずっと聞こえてる…。」


それってまさかあみちゃん…。呪われたんじゃね!?


何で何で何で!!もうこりごり。何でいっつもこんなことになっちゃうの!そのゴニョゴニョが聞こえるって失踪した女の子と同じ症状!!まさかあのドキュメンタリー映像が本物だったとは…。


走っているバスの外にババアが立っていて、追い抜かしてもその先にまた立っているらしい。


どうすることも出来ず、追跡者が一人増えてしまう状態になってしまった。ベムとよしえさん、そして新メンバーのババアを従え5人は大山寺を目指す。

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