第14話

「さめちゃん、ごめんちょっとトイレ。」


それからかれこれ20分。駅のトイレからあみちゃんは出てこない。大丈夫だろうか。


「お待たせー!ちょっと体調悪くってさ。この近くに美味しいカフェがあるからそこでちょっと休憩しない?」


あみちゃんは良く目頭を押さえている。元気に振舞っているが、もしかしたらまたあの頭痛が始まっているのかもしれない。カフェについて注文が届くが、あみちゃんは冷汗をかいているように見える。


「ずっと私の話につき合わせちゃってごめんね。こんな人が普通信じられないような事信じてくれる人今までいなかったからさ。」


「全然、お化けの話とかめちゃくちゃ面白かったし!」


「でももう大丈夫!明日からもう合流しなくて平気だよ。良くわからないけどもうあいつら着いてきてないし。諦めちゃったのかな。このシュークリームめっちゃ美味しいんだよ。食べよ!」


どう考えても様子がおかしい。


「あみちゃんどうかした?何かあったの?」


「別に、何もない。着けられてないからもう一緒に居る必要ないでしょ?ってことだよ。」


と言いながらあみちゃんは涙を流した。ほら。やっぱりおかしかった。


「何があったのかちゃんと話そうよ。絶対に大丈夫だから。」


墓地を出てから頭痛が本当に酷くなったらしい。原因はあいつらだ。あいつらが祝詞を唱え始めると頭が痛くなるって。自分たちが着いていけないところに入ったから、怒りの力が増しているんだと思う。


「ずっと一緒に居られるわけではない。さめちゃんはそのうち逃げだすって。お前が来ればさめちゃんは解放されるんだから、早く楽にしてやれって何回も言われてさ。それもそうかと思うし…。毎日毎日付けられてゴニョゴニョ言われて頭痛いし、これがずっと続くと思うと怖くて。」


「そんなこと言わないで。友達を助けるのは当たり前でしょ?俺があんなところに連れて行っちゃったのがそもそもの原因のわけだし、絶対に諦めちゃだめだよ。一緒に頑張ろう。ほら、ブレスレット貸して!」


あみからブレスレットを預かると康平は強く握りしめた。


「これで今日別れても、このブレスレットが守ってくれるから!」


「本当に…?信じていいの…?」


「あたりまえじゃん!俺ら同中の友達だろ!?」


「ありがとう。」


このままただ一緒に居るだけじゃなくて、何か打開策を見つけないと。お坊さんが教えてくれた通りまずは不動明王に会いに行くことに決めた。

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