第3話
数日後吉田さんが来店した。
「この前ごめんねー!行くって言ってたのに来れなくなっちゃって。」
「いやいや、体調は大丈夫なの??」
「もう大丈夫!たまにあるんだよね、参ったわ。」
「そういうのって霊感があるんじゃない?」
「んー、多分そうなのかも。さめちゃんって、オカルトとかって…興味あったりするの?」
「あるある!お化け見えますみたいな知り合いいないし、何か面白い話ある!?」
それから吉田さんが来店した時は、休憩時間にいつもお化けの話をしてくれた。
吉田さんはガッツリ見えてしまう人みたいで、それをお化けに悟られないように生活するのが大変だと。
目の前に血だらけのお化けがいきなり現れて、目が合ってしまったとしても見えてない振りをしなければならないので目を逸らせない。目を逸らしてしまうと見えていることがバレてしまうから。
気づかれると真横にやってきて「見えてるよね?」とか囁かれたり、いくら遠くに離れても付き纏われたり大変らしい。
「ほら今も。誰も入って来てないのに、自動ドア開いたでしょ?」
来店のチャイムと同時に自動ドアが開くが、お客さんは入って来ていない。そんなことは良くあることだから何も気にしていなかったけど、お化けが入ってくるとこういうことになるらしい。2人して監視カメラの映像を覗き込む。
「パンのところにずっと立ってるねぇ、女の人。」
…!びっくりした、岩田さんだ。お客さんがいなくなって暇だから裏に来たみたい。3人で監視カメラを覗き込む。当然俺には何にも見えん。
「岩田さんもお化け見えるんですか!?」
「見える時と見えない時がある感じかなぁ。昔はこんなんじゃなかったんだけどねぇ。」
岩田さんは数年前に大きなバイク事故を起こしたことがあるらしく、それから霊感が強くなってしまったと。
岩田さんの乗ったバイクが信号無視をした車に追突され、激痛の中死んだかと思うと体が物凄い勢いで空へ舞い上がって行く。
気づくと地面は一面ひんやりとした雲が広がっている何もない空間に佇んでいた。すると目を開けていられないほどの金色の光が岩田さんを包むと、その輝きの中に性別不明だけれども、とても美形な全身金色の人が現れ
「あなたはまだここに来る時ではありません。戻りなさい。」
と告げられた途端ピューッと体が落下し、気付くと自分は血塗れで激痛の続きを味わったらしい。
「むしろあれだね、何故あのまま死なせてくれなかったのかと思うよ。マジで痛かったんだから。」
その話に当事者で無い2人は吹き出してしまった。
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