よるとかのじょ

バブみ道日丿宮組

お題:僕の夜 制限時間:15分

よるとかのじょ

 自分の時間というのは誰にだってある。

 それは通学中の何気ない道であったり、通勤中の電車の中であったり、あるいは部屋の中だったり、台所であったり、トイレだったりする。

 僕はといえば、夜の深まった時間がそうだ。

 その時間になってようやく親が眠るというのもある。

 親という存在感を感じないのは大事。

 すぐ隣の居間にいるときにとてもじゃないが聞かせれない通話をしてる時もあるし。

 親の寝室は部屋として3部屋分の距離があるので、騒いだところで聞こえることはない。

 毎週の金土日は彼女とゲームをする。

 それが日課となってる。

 遠距離恋愛ということもあって、週末にやっと会えると思うと楽しみが膨れ上がってくる。

 遊ぶものはいろいろなものを採用しており、VRゲームだったり、ストラテジーゲームだったり、TRPGだったり、本当に幅広いものを遊んでる。

 もちろん、ゲーム以外のこともする。浮気してないだとか、試験はどうだったとか、友だちは作れたのかとかなんとか。

 だからこそ……なのだけど、

「これって何かのいじめじゃないかな」

 自分がやらされてることを異質に感じた。

『音読なんて今更じゃない。お互いの自慰行為だって見てるんだし』

 あははと、通話先の彼女が笑う。

「そ、それはお互いにやるから、意識が分散してあって……」

 彼女が乱れた姿に興奮しないわけもなく。

『エロゲーなんて持ってるのが悪い』

「言わなきゃよかったよ」

 話の発端は最近何のゲームをしてるかという話題で。そこで最近やってるエロゲーについて口走ってしまった。

 画面共有したところ、主人公の声がないから読んでということになった。

 エロゲーをプレイしてるところを見られるという辱めを受けながら、まさか追い打ちをかけてくるとは思いもしない。

『ヒロイン、私にそっくりなんだもの。もっと君の声を聞かせてね』

「普通の会話じゃダメなの?」

『ダーメ。ゲームだとはいえ、浮気してたのだもの。罰は受けなくちゃ』

 はぁとため息。

 胸がドクンと高まった。

 そうだ。いつだって彼女は僕をそうさせる。

 はじめて会ったあの日から、ずっと僕は彼女に夢中なんだ。

「わかった。けど、声優じゃないから演技力に期待しないでね」

『うん、わかった』

 そうして、2時間に及ぶ、音読劇がはじまったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

よるとかのじょ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る