ある日、あることを、あるようにして
バブみ道日丿宮組
お題:今の極刑 制限時間:15分
ある日、あることを、あるようにして
会話劇というのは主に会話が繰り広げられる劇のことをいうのだが、牢屋ともなればそんなことはない。
毎日食べて寝て、たまにお風呂。
自由時間なんてものはあるが自由ってものはない。
外以上に弱肉強食の世界が広がっており、会話という会話は凄く頭が悪い内容になってたりもする。もちろん、彼らの頭が悪いわけじゃない。中には有名な事件の犯人なんかもいたりする。
同室だった人間がこぞって衰弱死するという自体も起こったこともあって、今は個室を与えられてて、満足感のある生活をしてるとかなんとか。知能犯というのは他の事件解決の糸口の1つとして頭脳を借りることも多い。逮捕へと導けば、なんらかの特典があるらしい。もっとも僕なんかはただの窃盗で捕まっただけだからそういうのは一切ない。
生きる。
僕はただそれだけのためにお金を盗み続けた。
他人のように働くということができなかった。
盗むということだけが自分の持ち味だった。
今回は相手が悪かった。ヤクザものなんて歩いてるとは思わなかった。けれど、彼らは優しかった。警察に通報して、暴力を振るわなかった。すぐに捕まることにはなったけど、なんだかほんわかした。
ヤクザものの人はよく面会に来てくれた。
度胸があるとか、才能があるとか、親に褒められないことを褒めてくれた。
それで、ここを出たらうちに入らないかって言われた。
凄く心臓がときめいた。
誰かに当てにされるのは何年もなかった。
僕はすぐに返事をした。もちろん、イエスだった。
それからしばらくして犯罪者は極刑すべきだという話が広まったのを耳にした。
生かしておく必要がないとか、人間として失敗だとか、牢屋内は騒がしかった。
そうして外に出られる日が近づくと、知能犯だった人が死刑になったと聞いた。見たこともない人間だったので生きてても死んでても僕には関係がなかった。
ただ……窃盗しただけで死刑になるのは勘弁してほしいと思った。
外に出られる日になり、外に出てみるとヤクザものの人が待っててくれた。抱きしめられた。人間の暖かさを感じられた。
そして僕は知能犯になった。
ある日、あることを、あるようにして バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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