帝王の子
バブみ道日丿宮組
お題:日本帝王 制限時間:15分
帝王の子
かつての大国には帝王というのがある。
帝といえば、とあるゲームで生贄を捧げることにより特殊能力を得るものもあったがーー。
帝王というのはまさにそんな能力を持ってた人であるらしい。
空を飛ぶのは当たり前で、テレパシーやら、考えることを当てたり、未来を予測できたとか。
まぁ……それでも寿命をいじることはできなかったらしく、おまけに病気も治せないため、早くに生命を落としたという。
だからこそ、奇跡の帝王と呼ばれてる。
「王様、そろそろお時間です」
部屋に小さな男の子が入ってくる。
「二人っきりのときは敬語じゃなくていいっていったよね?」
「それはそれです。職務を果たしてるときはこうのがいいのです」
ビシッと敬礼を返された。
「わかった。みんなにはもうちょっとだけ待ってるように伝えてね」
わかりましたととことこ部屋を出ていった。
「……王様か」
私は帝王を祖先とする子孫。
直系を主とする国のため、そうなった。
私に能力というものは1つもない。母親も父親もそんな力は存在しなかった。
ただ……あるとすれば、子供をもうけると両方の寿命が2年も持たないということだ。
これは呪いにも思える。
親と子が一緒に生活することができなかった帝王の呪い。
そういう意味でいえば、能力を引き継いでるのかもしれない。
今日はそんな私のお婿さん候補を絞る日。相手に死んでくれという日なのだ。
もちろん、子供ができなければ能力は発動しない。寿命を全うすることができるであろう。一族繁栄のためにそれはできないのが辛いところ。
私はできにくい身体なのだということを知ってる。毎日のように小さな執事と眠ってる。それは2年経過しても変わらない。
欲しいと思ってもできない。ほしくないと思ってもできない。
いっそのこと死んでしまえばいいのか、そう思う日もある。
もしくはこんなところに産まれてこなければ、長生きできたんじゃないだろうか。
……それはわからない。
街の外は危険でいっぱいだ。
毎日多くの人が死んでる。街の中にないものはどうしても外から仕入れなければならない。
誰かが生贄にならなきゃいけないのだ。
それが私であるか、あなたであるか、彼であるか。
そういう違いでしかない。
「はぁ……」
どうせならより良い能力を持って産まれてこれたら良かったのにな。
窓から見える外はどんよりと曇ってた。
帝王の子 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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