戦場の跡
バブみ道日丿宮組
お題:戦争とカラス 制限時間:15分
戦場の跡
「ここが境地破壊爆弾が投下された街です」
戦争が通った道は全て灰色に包まれてる。それはかつての歴史書からしても明らかだ。
ここに生命体がいるとすれば、カラスぐらいだろうか。
焼け焦げた死体をつついて、肝を胃に運んでく。彼らにとっての食事になった人間という物体は果たして美味しいのだろうか。昔の文化では死んだものを後世に残すために贄となったこともあるらしい。
本当のことなのかどうかはわからない。今ではそういったことがあったという文献しか残ってない。
「人間は愚かです。こんな殺戮兵器をどうして作り上げたのでしょうか。見てください、この荒んだ街の様子を! ここには一週間前、確かに街がありました。ですが、それは一瞬にして滅びました」
教師の答弁をよそに、私は景色を見渡す。
「そう。わたしたちと同じ人間が破壊したのです。そして多くの人間を銃や刃物で殲滅しました。これは許されることではありません」
確かに教師がいうようにこれらは人間が行ったことであり、容認してはいけないことであるだろう。
「いかに宣戦布告されたからといって、安易に報復するのはおかしいなことです」
領域侵犯、テロ行為、国家転覆政治家。
いくつかのことがあってこうなった。
なった……というにはとてつもなく酷いことだろうけど、他に言いようはない。
この国がやったことは、私たちの国を破壊、阻害し続けること。
それを黙り続けるのも無理があるかもしれない。
もっとも命令をしたのは国のトップで私たちの蚊帳の外だ。
「理想を求めるのはなぜいけないのか。平和であり続けるためにどうすればいいのか。みなさん考えてみてください。きっとわたしたちにもできることがあるはずです」
教師の言葉は胸に響かない。
周りの生徒達を見てもそれははっきりとわかる。
誰しもが退屈そうに眺めるだけで、真相を知ろうとはしない。
それが人間の本質なのだと私は理解してる。
自分たちに関係のないことは、意味がない。記憶に入れる必要もない。考える必要もないし、悲しむ必要もない。
そういう生物なのだ。
生きるために誰かを貶めるわけでもなく、趣味で誰かを罵倒する。
そんな生物が大量破壊兵器を手に入れたらどうなるか。
これが目の前の惨状だ。
「わたしたちは仕返しされるかもしれません。そのときどうするか。きちんと行動できるようにこのことを覚えておいてください」
教師が歩き始めたのでその後を追う生徒。
明日爆弾が落とされたとしても、私たちは文句を言うことはないだろう。
きっとそれはーー。
戦場の跡 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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