川の日

バブみ道日丿宮組

お題:愛すべき川 制限時間:15分

川の日

 昨今ゴミ問題が騒がれてる。

 それは普通に歩いていても見つかるもので、ゴミが落ちてない街というのはほとんどない。

 田舎であればもう少しまともであるかもしれないが、実際のところ都会と変わらないかもしれない。

 そんなゴミ問題のために、レジ袋が有料化された。

 かといっても、袋を持ってなければもらうので手間が増えただけだ。

「……」

 まさか釣り餌を買うお店もまた有料になってるとは思わなかった。さすがに餌は別の袋に入れておきたい。うねうね動く餌はちょっと怖い。

 別に袋を洗えば、何も問題はないし、普段使ってるのは何度も使って洗ってないもの。

 どちらが危険といえば、後者のほうだ。

 だからこそ、餌がわけられてなくても危険度は高いのだ。

「はぁ……」

 何にしてもゴミは多い。

 子供の頃から夏に必ず来るスポットである川にもその被害がある。

 BBQした客が捨ててったと思われる串、金網、炭。

 遊びにきた客が捨ててったタコ糸、ペットボトル、缶。

 多少拾って袋には入れたのだが、まだまだ多い。

 川の中にあるゴミはさすがに拾えない。

 その魚たちを釣って食べるのは危険にも思える。

「調子はどう?」

「別に変わらないね。そっちは?」

 両手いっぱいのレジ袋にゴミがたくさん入ってた。

 彼女は釣りに興味はなくて、川が汚いからと自分から掃除を受け持った。

「この道路側にさ、ゴミ箱があればまだ少しは変わるんじゃない?」

「それはゴミ収集車の人が大変になるんじゃない?」

 毎日道を外れて川道にくる。余計な手間だ。

「平日来る人はそんないないだろうし、月曜日だけとかかな?」

 休日後の平日。確かにそれであれば、ゴミはおそらく出てるだろう。

「問題はゴミ箱があっても、捨てる人だよ。あそこを見てみて」

 澄んだ川のとある場所を指差す。

 木が生い茂って影ができた場所だ。より一層深くが見える。

「あそこに紐状のゴミ見えるよね? あっちには缶がある」

 それらはどう考えても投げ入れたものだ。

 持ち帰る以前の問題で、ゴミを投げ捨ててるのだ。

「あぁいうゴミを片付けられないとどうしようもないよ」

「そうだね。子供とか川に入って足切っちゃったりしたら危ないよ」

「川の水を全部抜いて、一回ゴミを取れればいいんだけどね」

 それは不可能ってやつだ。

「少しずつ、少しずつやってくしかないんじゃないかな」

 そのとおりだ。

 急いだところで解決するようなものじゃない。

「水浴びしてもいいかな?」

「水着持ってきてないよね?」

「だから、裸でしようかなって」

 それは……どうなのだろうか。

「誰かに見られてらやじゃない?」

「その時は教えてよ。すぐやめるから」

 そういって彼女は服を脱ぎ始め、産まれたままの姿になった。

 何度見ても彼女の身体は綺麗だ。

「もう。視線がイヤらしいぞ」

「そんなことはなくはないけど……」

 結局その後人がくることはなく、彼女は水浴びを楽しみ、僕は魚釣りを楽しんだ。

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川の日 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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