茜色廃園
理柚
茜色廃園
Ⅰ
摘芯を待つ植物のために
丁寧に爪を研ぐ必要がある
萌芽の情動を煽る遊戯に
したり顔で興じていると
それは 突然現れる
Ⅱ
茨を踏み分け
門を押し開く
さんざめく光の嘲笑に
たじろいてはならない
侵入者ならば
最奥を目指すのみ
Ⅲ
侵入者は 思慮深く構え
聡明に見える
それを歓ぶのは束の間
口を開けば浅はかな暴君となる
狭霧
枝と枝を編み込む
蜘蛛の糸が露に撓る
Ⅳ
永く居て遠くにも在ると
侵入者は言う
それは空言であると
この廃園は言う
Ⅴ
最奥への標は朽ち
侵入者はいつしか消え去る
踏み折られた茨は
宙を刺しながら身をもたげ
門は閉じられる
丁寧に爪を研ぐ必要がある
摘心を待つ者のために
詠唱
明彩を失くしても
日没にはほど遠い
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