ラストブレイン
あさひ
第1話 終の世界《ロストラスト》
世界を上から覗き込む人影が口を動かしたが
何を言ったのだろうかと見つめる前にそっといなくなった。
ハッと目が覚めた
脇にある時計が微かに見えるくらいで
まだ日は昇っていない。
「またこの夢?」
何かが伝えようと毎日の様に
見せてくる光景は何か見守るようで
そして期待している眼差しを向けている気がした。
ふらふらと歩いていく少女は
部屋から廊下を渡った所にある
食堂の浄水機へ向かう。
「寝起きだからレモン水が良いかな」
この施設では健康を保つために
要望に答えたものが置いてある。
何故なら最高の頭脳が集まり
そして何より世界の再興に必要な人材達だからだ。
少女は来た道を戻り
部屋の中で考え事をしながらノートを睨むこととなる。
朝日が昇ったのか日差しが目に挨拶をしてくるのは
位置の関係で仕方ないが明滅する視界には慣れない。
「おっ? 今日は早起きだな」
「うるさい・・・・・・」
元気に日差しを上回る挨拶をぶつけ
相手に鬱陶しい認定を受ける少女は日課だったのか
ニッと笑い食堂の方へ早足で向かっていく。
それを横目にウザがった少女は
時間に気づいたようで慌てて追いかけていった。
「待ちなさい! どうせよく噛まないんでしょ!」
食堂での決まりにそんなものはないが
健康やマナー面での問題があるために年長者として注意している。
「リンが追いかけて来る~っ!」
「よっ! お熱いね~っ!」
「またか・・・・・・」
ガヤガヤと朝の恒例を楽しむ
これがなければ【ラスターロスト】ではない
という者もいるほど普通のことだ。
こんな日常はここしかないかもしれない
終わった後のこの世界では・・・・・・・
ラストブレイン あさひ @osakabehime
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