第184話 『母体』とのご対面
バババババババババババババババババババババ
ひたすらに蜻蛉を駆除していると、どこからか、より大きな羽音が聞こえてくる。
「あれか」
「…だな」
湖の中央付近にある浮き草から一メートルの蜻蛉の群れの中でも一際大きい影が出てくる。
(周囲の蜻蛉の比率から大体五メートルってところか、それに)
『母体』の周囲には
(女王を守る近衛兵ってか、どれどれ)
魔蟲の攻勢が落ちつくタイミングでモノクルを取り出して正体を確かめる。
――――――――――
Name:
Race:
Lv:163
状態:普通・群体
HP:1502/1502
MP:3402/3402
STR:67
VIT:72
DEX:51
AGI:69
INT:38
《スキル》
【鋭利牙:29】【剛大顎:37】【音波羽:34】【毒針:41】【潜伏:82】【隠密:67】【速飛行:75】【産卵:71】【意思疎通:42】【振動感知:58】【視界強化:42】【指令:54】【粘着毛:39】【超硬化:27】
《種族スキル》
【静止飛行】
【多産卵】
【特殊産卵】
《ユニークスキル》
――――――――――
――――――――――
Name:
Race:
Lv:58
状態:空腹・群体
HP:1270/1270
MP:950/950
STR:65
VIT:73
DEX:61
AGI:58
INT:43
《スキル》
【鋭利牙:39】【剛大顎:28】【刃剣尾:19】【音波羽:14】【猛毒針:18】【潜伏:32】【隠密:42】【速飛行:38】【振動感知:49】【視界強化:50】【粘着毛:26】【超硬化:4】
《種族スキル》
【静止飛行】
【母体危機察知】
【我が身を盾に】
《ユニークスキル》
――――――――――
――――――――――
Name:
Race:
Lv:54
状態:空腹・群体
HP:880/880
MP:610/610
STR:34
VIT:42
DEX:38
AGI:43
INT:24
《スキル》
【鋭牙:29】【大顎:24】【風切羽:22】【毒針:37】【潜伏:27】【隠密:41】【飛行:82】【視界強化:57】【粘着毛:38】【硬化:23】
《種族スキル》
【静止飛行】
《ユニークスキル》
――――――――――
――――――――――
Name:
Race:
Lv:68
状態:空腹・群体
HP:380/380
MP:750/750
STR:58
VIT:73
DEX:69
AGI:41
INT:37
《スキル》
【突角:49】【大顎:25】【速飛行:75】【猛突撃:68】【視界強化:42】【粘着毛:26】【硬化:7】
《種族スキル》
【静止飛行】
【角殻生え変え】
《ユニークスキル》
――――――――――
――――――――――
Name:
Race:
Lv:28
状態:空腹・群体
HP:170/170
MP:210/210
STR:22
VIT:14
DEX:29
AGI:41
INT:14
《スキル》
【牙:9】【大顎:7】【音切羽:14】【毒針:11】【潜伏:17】【隠密:37】【飛行:75】【視界強化:42】【粘着毛:26】【硬化:7】
《種族スキル》
【静止飛行】
《ユニークスキル》
――――――――――
モノクルで出た蜻蛉の種類は4つある。
まず最も大きい『母体』である
そして『母体』の周囲にいる10匹ほどの
他には
普通の蜻蛉にはない、大きな角を持っている
後は先程まで殲滅していた、
(『母体』である
試しに
「さて、どうしようか」
「おい、さっさと伏せている手札を出せ!!」
悩んでいるとエナがそう責付かれる。
「何のことだ?」
何も知らないようにとぼけるがエナの視線がきつく刺さり、胸ぐらをつかまれる。
「いいか、オレの鼻は特別だ、この鼻はオレ達が死にそうになると特殊な匂いがする。だが今は全くそんな匂いがしない、なぜだと思う?普通に考えたらあんな数に襲われたならオレ達はひとたまりは無い。じゃあなんでだ?それはお前が何かを隠し持っているからだろうが!!」
「……へぇ~」
エナのユニークスキルの一端が見えた。だがそれがすべてではないだろう、そうじゃなければ俺を誘拐したり、その後も軍を突っ切るときに無理に連れてくる必要はないはずだ。
「さっさと全力を出せよ、そうすれば簡単に終わることが分かっているんだぞ!!」
口から漏れ出るうなり声は今にも憤怒を起こしそうだった。
「……なら交換条件を飲め」
「交換条件だと?」
本当ならここで解毒を迫りたいが、おそらくそれはしない。なにせ解毒が終われば俺はすぐさま逃げるつもりだった。やはり多少の利益はあっても、命のリスクが多大なら逃げるに決まっている。
だがここで問題なのがエナだ。先ほどの言葉や過去の原動からエナのユニークスキルが俺をここにとどめておく方がいいと指示しているなら、行動を先読みでないにしてもうっすらとでも未来が見通せるなら、まず解毒の案は飲まれない。それにユニークスキルがないにしても、獣人の情報を持つ俺を逃がす選択肢は存在しえないだろう。もしここで全力を出さず、逃げ出したとしても獣人が巻き返すことも十分にできる可能性がある。結局この戦いは数ある戦局の一部分でしかない。
だがやはり手の内をさらすならそれなりの見返りが欲しいので別の要求を出す。
「俺は魔蟲共討伐報酬に戦士の身分を要求したな?」
「ああ」
「それは土地、お前らで言う、縄張りを手に入れるためだ」
さすがに悠長にしている暇はないので手短に説明する。
俺が欲しいのは身分ではなく、得た縄張りで採掘できるであろうあの『飛翔石』という鉱石だということ。
「要件は簡単だ、お前は俺が鉱石を手に入れやすくさせるための協力をすること、それと引き換えにあの『母体』は俺が全力で葬り去る、どうだ?」
「いいだろう」
「…おい、エナ」
「わかっている、だが、手伝いをするだけだならとりあえずは問題ないだろう」
エナはあっさりとこの条件を飲んだ。おそらくご自慢の鼻が問題ないと判断したのだろう。
「おし、では交渉成立だ」
「いっとくけど手伝いだけだからな」
戦場にも関わらず俺はエナと握手を交わす。全てを清算したわけではないが、今はこの関係であるほうが収まりがいい。
「さて、じゃあ、一つ頼みがある、湖に入ったカイマンたちを退却させることはできるか?」
「??いいのか?」
「ああ、本気になると邪魔だ」
「いいだろう、ティタあいつらを呼び戻してこい」
ティタはそう告げられると静かに頷き、湖に向かって疾走する。
そして水に飛び込む際に体すべてを【獣化】させて、本物の蛇になる。蛇の体なら水の中でも動きやすいのだろう。
「じゃあ少しだけ此処で耐えな、そうすればティタたちが戻ってくる」
「了解」
言葉と共に『母体』に向けてバベルを構えると
「あれって、そう言うことだよな?」
「ああ、そう言うことさ」
俺とエナは鋭い角をこちらに向けている
ブブーーーーー!!!
幾重にも重なる羽音が聞こえると、すべての
「さすがに援護できないから自分で何とかしろ」
「わかっているよ『天雷』」
それから始まるのは上下左右前後から襲い掛かってくる
「おっと」
頭上から急降下してくる
「自爆特攻同然か」
突き刺さっている
今の状況を簡単に例えるなら意思のある銃弾に狙われていると言ったところだろう。
「まだか?」
隣ではエナがすべての
(それにしても余裕だな)
こっちは結構四苦八苦しているというのにエナは背後や死角からの攻撃をすべて余裕で回避している。
「おい」
「ん?ああ」
視界の端でティタとカイマンたちが湖から上がり森の方に入っているのが見える。彼らが退避し終われば次はこちらの番だ。
「じゃあ、お前も徐々に後ろに退け」
「本当に一人でいいんだな?」
「ああ、むしろ邪魔なんだよ『天雷』」
『天雷』を放ちながら腕を振り回し、広範囲に広げていく。
「それじゃあ行ってくる、『飛雷身』」
『天雷』により開いた視界から『母体』が見えるようになると『飛雷身』で一足飛びに移動し始める。
ここ数年で気づいたのだが、実力者にはそれぞれ最も得意とする状況やスタイルがある。
リンならば、一定以上の空間があること。風が最も有効活用できる場所での戦闘が得意。
クラリスなら逆にある程度近くにいること。拳や刃布が当たる距離で戦うのが得意。
セレナはある程度離れていること。【多重ノ考者】は思考を増やすことはできても考える時間を延ばすことができないので近づくもしくは離れることができる距離感が最適。
ノエルとカルスは障害物の多い場所。糸を張り巡らせて罠として使ったり、死角からの不意打ちをしやすい空間が一番。
カリンは走りまわるスペースがある場所。言うまでもないが走り回れないのではカリンの力はほとんど意味が無い。
ウルなら月夜に相手がある程度いるときだ。ウルのユニークスキルは月夜には魔力回復を劇的に高め、さらには相手の数の差があるほどステータスが強化される。
では俺の一番得意な状況はどんなだろうか、それは―――
『飛雷身』で『母体』の真上を取るとバベルを上に掲げて。
「『神罰』」
空から光の柱が降り注ぎ、
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