第51話
朝起きて、隣を見たら俺の──世界で一番可愛い彼女。
寝顔なんか何度やって見てきたはずやけど、初めて“彼女”として見たその顔は、めちゃくちゃに可愛くて、愛おしくて、マジでこの気持ち処理できんのやけど。これから俺、生きていけるか?
頬を撫でればゆっくりと彼女の目が開いた。
「おはよ、晴」
少しだけ掠れた寝起きの声。ふわふわの髪。へにゃっとした笑顔。
「……好きやで」
そう呟いたら、目をパチパチさせて、頬を赤らめる。ぺちっと俺の胸元を叩いた。
そっと額に口付けて、それから頬。次に鼻のてっぺん。そんで、最後に唇へキスを落とす。
「……はは」
溢れた笑いに、ななちゃんが不思議そうにした。
「……全部、俺のもんやんな」
ああ、好きや。死ぬほど。
「……うん」
俺の欲しい言葉、全部くれる。
もう離せんで?誰に頼まれたって。
いつだって君は、鈍感でズルくて優しい人。知っとった。だから好きになったんやんか。
埋まらん年の差に、自分の世界をどんどん広げていくであろうななちゃんに、焦っとった。俺の知らん世界がいつもななちゃんの周りにはあって、俺との世界なんかあってもなくても同じ。
それでも、帰ってきたななちゃんが、少しでもため息をつける場所でありたかった。そのため息も受け止めて、少しでもラクにさせてあげられたって。“安心できる居場所”やなんて大層なもんやなくていい。ただ、隣でいても平気でいびきかいて寝れるような……そんな相手が家族以外、人生で一人くらいおってもええんちゃうかなって。
それが俺やったら、幸せやろうな……って。
……だからさ。
俺は君と出会えたこの世界に、感謝する。
俺は君しか、いらんから。
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