第一幕 強者への渇望

弱者の弱者狩り

ゴブリンは洞窟の中をすすんでいた

その歩調はゆっくりとしたもので顔には怯えの色が浮かび

目線も上に下にと忙しなく

落ち着きがないように見られても反論できないほどである。

洞窟の中は薄暗いのだが、奥に行くにつれ暗くなくどころか

少し明るくなったようであった


ゴブリンであるこの個体は弱い

だからこそ臆病で慎重で警戒心が強い

そこにこのゴブリンは強くならなくてはいけないという

一種の本能が芽生えていた


それは少し前にあった家族、友人の死を目の当たりにしたがゆえの結果であろうかそれとも生き残るための防衛本能ゆえか


ゴブリンを奥に進む、ゆっくりとゆっくりと周囲の土の壁を床を天井を、目で見て危険がないか、違和感はないか確認しながら進んでいく

すると奥の方から声がする

「「「ぎぎゃゃぎゃゃ!!」」」

ゴブリンは声に気づき奥の道に目を向ける

そこには同族のゴブリンたちがこちらに武器を手に走ってきているではないか

一応手に持ったぼろぼろの剣を体の前に構えるが、その剣はわずかに震えていた

それもそうである

武器を手に自分に向い走ってきているは、同族なのだから仲間意識があっても可笑しくない


だが、そんなことを言っているられる状況ではない

殺そうと明確な殺気を放ち襲い掛かて来ている

生きるには殺すしかない

ならどうする 剣で斬ればいい

腕なんかじゃ簡単には死なない 

人間がやっていたように、動けなくなるように足を

そして終いには止めをくれてやればいい

できるなら首を落とせばすぐに死ぬ


やるしかない 遂に対敵する

敵のゴブリンは躊躇なく武器を命を刈るために振りかぶる

まずは戦闘で走ってきた1匹 下ろしてきた剣を横に軽く跳んで躱す

そしてゴブリンはその手で首を落とすことに成功できた

少しの余韻 涙が流れる

「ぐきゃゃ!!」


気合の叫び一つ 続く敵ゴブリン次は剣持2 槍持1

殺した敵ゴブリンから剣を奪い、両手に剣を握り

前方から来る槍2本の刺突を剣で両横にはじき

槍持ちの間から剣を上に掲げ来るゴブリンを右の剣で胸目掛け刺す

そのまま前下に斬る そうすると敵ゴブリンは後ろに倒れる 


返り血を浴び軽く体が反応したがすぐに右の槍持ちに剣を投げる

回転しながら向かるそれは見事に肩に食い込み痛みに崩れる

「ぎゃぎゃぁぁ!!!!」

その隙に反対の敵ゴブリンに走り込み袈裟に斬るが、槍によって防がれそのまま後ろに押され体制を崩されお返しとばかりに肩に刺される

「ぎゃゃゃゃゃ!!!!!」

痛みに叫びをあげるがそのまま剣を振るそれが頭に当たり


血の噴水がはじまった あと1匹

崩れていたゴブリンはすでに立ち上がり剣を床に投げている

傷を片手で抑えじりじりと後ろに下がっている

そこに走り出し跳びつつ剣を両手で握り斬る

肩から腹にかけ入った剣を抜くと血が出て崩れる

敵を何とか殺せた 

ゴブリンはその場に膝をつき痛みに顔をゆがませる

すると死体は魔力へとなりゴブリンに吸収されている


{レベルが7になりました。

スキル剣術2にあがります。

スキル身体強化1を取得}


頭の中で響く 

周りには死体はなくなり、血の跡一つ残っていなかった

ダンジョン特有の現象である


そんなの関係ないとばかりに落ちている剣を拾い

肩から血を流しながらも奥に進んでいく

その顔には涙の跡がひとすじ

こうして同族殺しからダンジョン道中は始まった


名前

種族 ゴブリン

レベル 7/10

スキル

剣術2 身体強化1



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