四
ハナヒゲウツボと別れて、僕は再び珊瑚礁を逍遥しはじめた。珊瑚礁は依然として采々たるキラメキに満ち満ちていたが、段々と僕の目も肥えてきたようであった。
そんな道中で次に出逢ったのは、モンガラカワハギという魚であった。彼は斯かる極彩色の景色の
それが僕の目にアンマリ
それから、大きなテーブルサンゴを舞台としてチョウチョウウオたちが舞い
なんて晴れやかな心持だろう……。
舞い回る黄色い妖精たちの中心で、僕はウットリとしたアタマにそんな事を思っていた。全身が悦びに打ち震え、鰭の先から鱗、血、肉、臓、骨の髄に至るまで、得も言われぬ或るエネルギーの
そんな風にしてフワフワ気持好くなっていると、やがて最前出逢ったハナヒゲウツボが派手な長軀を翻し翻し飛んできた。そうして忽ち僕やチョウチョウウオたちの周りをグルリ
僕はイヨイヨ楽しくなってきた……。
大珊瑚舞台の上に黄色が
するとこの様子を見ていたらしいモンガラカワハギがもうタマラナイといった
それから僕たちは疲れも知らず久しく舞い游び続け、或る海の或る一角で、鮮やかな光彩を放っていた。
海面を通して仄かに届く光が辺りに燦々散らばり……水泡は真珠の如く
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