怪奇贄喰
影神
月食
昨日の夜月は、食べられてしまいましたね、、
皆さんは見えましたか??
私なんか久しぶりに、夜道を
散歩してしまいましたよ。
まあ、見れなかったんですがねえ、、
風で木々が揺れまして、
一人で歩いてるとなんだか
急に怖くなるもんでね。
何かいる訳でも無いんですが、
正直。びくびくしていました。
月が照らしてくれないと、
夜は真っ暗闇で、更に、
田舎なもんですから、
街灯なんてないんですよ。
家から漏れる明かりだけが頼りで、
自動販売機がたまに助けてくれたり、、
それでね、、
ゆっくりと、月を探しながら
夜の空を見上げる訳ですよ、、
最近は昼間は暑くて、
夜は肌寒くなる変な気候で。
そんな夜道を一枚羽織ながら歩いてると、
雲が空を覆っていて、まったく見えなくて。
「あぁ、見えないか、、」
25年振りっつったり、3年振りっつったり、
どっちが正解なんだ。なんて思っていると、、
どこからか音がするんですよ、
バリッ、、グシャ、、
何だか硬い物を食べる様な、
そして、液状の何かを潰す様な。
田舎ですからね、、
誰かが酔って田んぼん中でも
落ちたんじゃないかなんて、、
もう、農家さんは田植えですからね、
たまに車なんか落ちたりしてますけど、
あれはあれで落ちたとこ全部。
稲が駄目になっちゃいますし、
オイルなんか漏れたら
周りも育たなくなりますしね、、
たまったもんじゃないんですよ。
まあ、そんな話はさておき、
私は大変だなあ、なんて
思いながら歩くんですよ。
グチャッ、バリッ、、
音がさっきよりも大きくなって。
落ちた人が案外近いのかな、、
なんて考えながら、
その間も空を見上げる訳ですよ。
見上げながら、何処かなあ、何処かなあ、、
じーっと目を凝らしながら。
1時間ぐらいですかね。
長めの散歩をして、
空見てるから、気付いたら知らない道で、、
それでも何となーく夜空を見るんですよ。
グチャッ、バリッ、、バリッ、、
その間もずっと音がしてて。
音を考えると、どうやら、
何か噛んでるみたいなんですよ。
せんべいでも食ってんのか、、
月食の楽しみは人それぞれだし、、
って思ってたら、
『バリッ。
グシャグシャ。』
耳元で音が聞こえたんです。
それまで全然気が付かなかったんですが、、
何故か臭いんですよ。
風が吹いて、すーっと、異臭がして。
目を凝らすと影が揺れたんでね。
びっくりしながらも、
「月食見えないですね。」
話してしまったんですよ。
すると、
『ニエ、ニエ、、、
ウマイ。』
低い変な声でそう、はっきりと聞こえました。
バリッ、、バリッ、、
グシャグシャ、、
私は急いでたまたま近くにあった
自動販売機まで走りました。
全身鳥肌が立っていて、本能的に、
"ココニイテハイケナイ"
そう、感じ取ったんでしょう。
奥から聞こえる音にびくびくしながらも、
自動販売機の裏に隠れると、
向こうから"ソレ"は嫌な音を立てて来ました。
バリッ、バリッ。
グシャ。グシャ、
美味しそうに人間の子供の脚だろうモノを食べる、
髪の長い痩せ細ったシルエット。
生臭い臭いと、滴る液体を踏みながら、
鋭い歯で生肉を貪る様に食べる姿は異様なモノが。
私は口を塞ぎ、ぶるぶると震えました。
その時。すーっと空が晴れ、
明るい月が顔を出しました。
それからどのぐらい経ったか
分からなかったんですが、
気付いたらそいつは居なくなってました。
良かったぁあ、
そう思い。駆け足で帰りました。
「さっきのは何だったんだ、、」
家に着いた頃には肩で息をしていて、
喉がからっからに渇いていました。
私は水道に行って蛇口を捻って、
コップで水を煽る様に呑み込みました。
「ぷはあ、、」
我に返って深く深呼吸をしてね。
「はあ、、」
って深く息を吐くと、
ピシャッ、、
音がするんですよ。
さっき水道出したからかなあ、
って思ってると
グシャ、、
嫌な音がして、、
あれ。俺。玄関閉めたか、、
その時不意にあの生臭い臭いがして、、
ああ。アレは家まで着いて来てて、
今。
"俺の家の中に居るんだな"
って。
バリッ、、バリッ、、バリッ、、
グシャグシャ。グシャグシャ、、
月は悪いものから私達を見守ってくれていると。
よく昔の人が言ってたもんです。
月が無くなる時。
そんな日には居てはいけないモノが
外を彷徨いているかも知れません、、、
あ。
戸締まりはしましたか?
まだ外を彷徨いているかも知れないから、、
皆さんは喰べられない様に、、
それでは、、
いい夢を。
怪奇贄喰 影神 @kagegami
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