沈没の未来

バブみ道日丿宮組

お題:おいでよ撃沈 制限時間:15分

沈没の未来

「おい、あそこ沈んでない?」

「んー、沈没ってやつかな?」

「えっ? それなら通報したほうがいいのかな」

「通報ってなに?」

「いやさ、攻撃してきた国外勢力をさ」

「うーん、口で言っても説得力ないと思うよ。人が死んでますってのとは違うし」

「でも人死んでるよね? あの中で助けを待ってる人いるよね?」

「だったら、船長にいうのが一番じゃない。ううん、あんだけ煙出してるだし、もう動いてると思う」

「なら僕らはどうしたらいいと思う?」

「船員に聞いてみるのがいいんじゃない? 知ってればなんとかしてくれそうだし」

「他力本願だなぁ」

「私達に力はないもの。財力や、人脈はないよ」

「お金持ちや、知人が偉くても難しくない?」

「そうね。ここにいなければ全く意味がないもの」

「あれ? 小舟が出されたね」

「よく見えるね? ここからじゃ何も見えないよ」

「持ち上げてあげるよ」

「へんなところ触らないでよ? こんな場所でおっぱじめたらただの変態なんだから」

「わかってるよ。ほら、下の方で船が出てきたでしょ」

「ほんとだ。助けに行くのかな?」

「助けに行くにしても、沈没する船に近づいたら一緒に激流に巻き込まれちゃうでしょ」

「うーん……。じゃぁなんだろうね」

「救助はするだろうね。少し離れた場所から」

「一隻で足りるかな?」

「沈没船からもきっと出されるだろうし……まぁ確証はないよ」

「私達ができることがあるとすれば、動画配信かな」

「攻撃されたとか?」

「その瞬間は見れなかったから攻撃じゃないかもしれない」

「でも、沈没するような要因はないよね? よくある氷山なんてものも大きな岩もない」

「海中の中はわからないよ。もしかしたら、あったかもしれない」

「それだったら、この船も危ないんじゃない? 地形ってのがあるし、同じように岩があるかもしれない」

「まぁいいわ。始める」

「撮影中なんか喋ったほうがいいのかな?」

「別に普段通りでいいんじゃない? 別に有名になりたいわけじゃない。ただ知ってほしいだけだから、ほらはじまったわ」

「僕らは何もできないってのは無力さを感じるよね」

「沈没する船を救えるのはロボットのようにでかい存在だけよ。それでも全員は助からない」

「見て。ドクロマークの船があそこにいるよ」

「さっきまでいなかったのにどこから現れたのかしら?」

「遠くだから海面が反射してみえなかったとか?」

「うーん。違うと思う。なにかステルスするような防壁な気がする」

「ねぇ……こっちに近づいてきてない?」

「……みたいね。やばいのかもしれない」

「逃げる?」

「海の上から逃げることはできないわ。それに攻撃しにきてないかもしれない」

「あんな禍々しいのに?」

「あと数分の出来事よ。この配信で私達は終わるかもしれない」

「落ち着いてるね」

「そうね。死ぬ一瞬でもあなたといられることが嬉しいのかもしれない」

「……そっか」

「できることなら、地上で死にたかったなぁ」

「海はどこまでも続いてるから、僕たちはずっと一緒だよ」

「……うん」

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沈没の未来 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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