たったひとつの願い事
勝利だギューちゃん
第1話
魔法使い。
そんなのは架空の存在で、現実にはいない。
仮にいたとしても、漫画のような美少女ではないだろう。
「しかし、ぼろいなこの家」
僕は今、夏休み・・・世間では、そう呼ばれる時期に、父の田舎に来ている。
しかも、ひとりで・・・
僕はこの春、高校を卒業した。
でも、受験に失敗した浪人生だ。
なので、普段は勉強しているが・・・
「実、少しいいか?」
「何?父さん」
勉強していると、父に呼ばれた。
「お前、もう何年も、おじいちゃんに会ってないだろう?」
「うん。忙しかったからね」
小学生の頃は、よく父の田舎に遊びに言っていた。
しかし、中学生になると田舎へ行くことはなくなった。
もっとも、祖父の方から来ていたので、何度かは会っている。
「この夏に、気晴らしに行ってみないか?」
「俺、ひとりで?」
「ああ。おじいちゃんも喜ぶだろう」
「妹の真矢は?」
「あいつは、全寮制だろう」
「父さんと母さんは?」
「仕事が外せない」
こうして、息抜きを兼ねて、祖父のいる田舎に来た。
ちなみに祖母はすでに、他界。
父はマスオさん状態なので、母の実家で生活している。
母方の祖父母も、他界した。
前置きが長くなったが・・・
「おじいちゃん、久しぶり」
「おう、実か、大きくなったな」
「正月に会っただろう」
「そうだったな。真矢はかわいくなったか?」
「知らん」
そういや、真矢とはもう随分会ってないな。
ラインは届くから、くたばってはいないが・・・
父の田舎は、とても静かだ。
それに涼しい。
だが、とてもぼろい。
「おじいちゃん、この家はいつ出来たの?」
「さあのう、まだ江戸時代だったかのう」
「そう・・・」
まあいい。
久しぶりに、おじいちゃん孝行するか。
部屋は、父が使っていたらしいところで、寝泊りすることにした。
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