多数決

バブみ道日丿宮組

お題:プロの多数派 制限時間:15分

多数決

「多数決って暴力的じゃない?」

「そうかな?」

「毎回委員長になるこっちの身を考えてほしいわ。これで通算10回目。小学校から何も変わらないポジションよ」

「それは人気があるとか、尊敬されてるとか、畏怖されてるとかあるんじゃない?」

「最後のはちょっとあれだけど……納得しかねるわね」

「いいじゃないか名前が出るだけで、こっちなんか存在忘れされてるかのように放置されてるぞ」

「そうね。必ず一人一個の役割を与えるっていう方針なのに、余りがでたものね。面白かったわ」

「やってないの誰だよって空気すごかったな。なんていうか恐怖に支配されてたっていうか、驚き方が異常だったよ」

「私もそうなってほしいわ。はい、これ今日の分の日誌」

「ありがとう。俺が書いても誰も読まないから委員長が書いてくれると非常に助かる。文字まで見られない俺異常」

「もうそれは存在感というかいじめに近いんじゃないかしら」

「そういう方針なのかもな。前の学校でイキってたのがよくなかったかもしれない。不登校児を10人は作ったからな」

「酷い人ね。つまり、今しっぺ返しを食らってるということかしら」

「そうかもしれない。委員長になにかいったらごめんね? こうやって話してるのをよくないって思われてるかもしれないし」

「私が構っても特にクラスから視線を浴びること今のところないわ。どちらかといえば、あなたという枠組みを私がどうにかしろという風にも思えるの」

「人権ないじゃないか」

「多数が有利を得るのはアタリマエのことだから。あなたは一人でわりと何でもこなすから、おそらく数で圧倒する方針なのでしょうね。委員長に私がなったように。わかりやすいこと」

「暴力よりも酷いじゃないか」

「酷いことをしてきたのはあなたよ」

「……そうだったね」

「試験は受けさせてるし、出欠もとってる。ただいないと思われてるだけ。並大抵のことじゃないと思うわ」

「これいつ終わると思う?」

「多数決が割った時じゃないかしら。おそらく私が委員長をやらなくなった時ぐらいかしらね」

「それってもうこの学校じゃなにもできないってことじゃないか」

「あと2年も委員長を私にやらせる気?」

「暴力だからね、数の。票が集まらないことはないだろうし」

「はぁ……憂鬱になるわね。それじゃ私は帰るから、きちんと教卓の上に日誌を置いて帰るのよ」

「わかってる。小学生じゃないんだから」

「そうね……そうかもしれないわ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

多数決 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る