神との

バブみ道日丿宮組

お題:神の葬式 制限時間:15分

神との

「こんな寂しいところで、一生を終えるなんて全くあなたらしいといえばあなたらしいわね。

 私は見てわかる通り病気は治ったわ。

 あなたのおかげでね。一生の感謝をしてもバチは当たらないでしょうね。

 ありがとうっていえないのはすごく嫌な気分」

 洞窟の中、少女がつぶやく。

 そこにはだれもおらず、ただ墓石だけが置かれてる。光は少女が持つ懐中電灯のみで、他に光ははない。水の流れもない、風の流れもない。

 まるで時が止まった場所。

 そんな風に少女は思う。

「神様なんだから、もっと人に感謝されながら死んでいきなさいよ。あなたの願いはそれでも叶ったはずなのだから、私の病気を治すためだけに降りてきたなんて嘘はいらなかったわ」

 墓石の前にそっと花束を置く。

 それは古来より続いてる、死者との交流。

 少女と、神様の会話だった。

「あなたの子供はきちんと育てるから、半神なんてどうなるかはわからないけどね」

 少女はお腹を擦る。

 外からわかりにくいがほんのりと膨らみが胸のようにお腹がある。少女と神の子供である。子供を身ごもることによって、少女は原因不明の病から開放された。

 そして同時に夫のような、恋人のような神様を失った。

「このこは長生きはするでしょうね。それであなたみたいに人から離れることを選ぶかもしれない」

 でも、いいのとぽつりと漏らし、

「あなたとの証は残される。こうしてお墓だって残せる。いつでもは無理だけど、子供と毎年訪れて成長を見せるわ。驚きはたくさんこれから生まれるのだから」

 嬉しそうな笑顔を見せ、少女は墓石に背中を向ける。

「ほんとはあなたが死んだこと、信じてないの。街の人が死体を見たっていうけれど、私はそれを見ていない。ここに埋葬されたっていう後日の結果しか私は知ることができなかった。

 あのとき、私は寝込んでたから仕方ないかもしれないけど、寝込みを襲うあなたも大概よね」

 懐中電灯が点滅しだす。

「ちょっと長いし過ぎたみたいね。それだけ語ることがあったのに……あなたはいないんだもの。ほんと嫌な人。そんな人に恋した私はもっと嫌な人」

 でも。

「幸せな気持ちがいっぱい、たくさん持てた。これからだってそう……このお腹の子にきっといろんなことをもらうことができる」

 だから。

「見守っててね。私が精一杯生きたって、神界に報告してよね」

 そうして少女は墓石の前から街へと戻った。

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神との バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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