赤いうどん

バブみ道日丿宮組

お題:あいつのうどん 制限時間:15分

赤いうどん

 真っ赤なうどん。

 そう呼ばれる食べ物が食堂にあった。

 普通のうどんに30円プラスして唐辛子まみれにするという新手のいじめのような食べ物は、あいつの主食だ。むしろあいつ以外食べてる人を見たことがない。

 巷で話題の唐辛子アイスというのもあるのだが、甘いものは甘いから美味しいのであって、わざわざ辛くする必要はないだろう。

 そんなゲテモノ料理を、

「……」

 普通に目の前で美味しそうに食べるこいつも同様な存在なのかもしれない。

「なーに? あげないよ?」

 唇を赤く染めた幼女はお皿の上をガードするように両手で覆う。

「いらない。まじいらない」

 食べたらお腹壊す。絶対に吐く。

「いきなりどうして大学にきたがったのよ。異世界人のあなたにはほぼ関係のないことよね?」

「あなたが毎日通ってる学校が気になって、ね? なにしてるのか興味でた」

 異世界転生してきたこいつは、はじめは猫だった。捨てられた子猫。

 介護しようと拾ってきて、お風呂に入れてみれば、幼女の姿に大変身。言葉も話すようになって、一緒に暮らすようになった。このことはまだ親に言ってないから、訪ねてきたらどうしようかなというのが最近の悩みだ。

「面白い。面白いよ、学校」

「学校なかったの?」

「あったけど、見てるだけ。入れなかった」

 なんでも貴族階級のものしか入ることはできなかったらしい。

 こんな可愛い女の子が学校にいれば、さぞ有名になっただろうに。その証拠にちらちらとこちらを見る生徒や講師が多い。

 話しかけるということは決してしてこないが、あまり見られるのは好ましくない。

「年齢的には小学校にはいけそうよね」

 調べてみたら、行けるかもしれない。

 まぁ……肉体年齢がそうであって、精神年齢はほぼ私と同じ。楽しめるかどうかはまた別の問題になるだろう。

「面白いのか? こんな食べ物でてくるか?」

「でてこないし、面白いかはわからない」

 グループから孤立してた私が特に言えることはなにもない。

 今ではこうしてこの幼女が話し相手として存在はしても、基本群れてはいない。

 いつだって一人でこなしてきた。

「行きたい?」

「ううーん、迷惑かかるからいい」

 謙虚だった。

「わかった。今日は一緒にいようね」

「うん」

 そうして、その日は幼女と講義を受けた。

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赤いうどん バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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