バブみ道日丿宮組

お題:恋の孤独 制限時間:15分

 それを言葉にするならば、恋でもあり、憎しみでもあった。

「……」

 病室で眠る彼女は語らない。

 語る口は呼吸器で塞がれ、目には包帯、耳には特殊な機械。

 ただ服は着ておらず、全裸。これは身体を衛生的に管理するために必要不可欠なこと。

 60分に一回彼女の身体は機械によって水洗いされる。

 普通の人間であれば、いらない行動だ。身体を拭くことはあっても、車のように水洗いするようなことは起こらない。

 つまり普通は起こらないことが彼女の中で起こってる。

「……犯人は死んだよ」

 返ってくる声は当然ない。

「君が身体に仕込んだ毒は現在の医学ではどうしても治癒できないとのことだ。判決で終身刑が出てたとはいえど、その苦しみは何もかも自白してしまう恐ろしい状態であったと」

 それは君も変わらないかもしれない。

 彼女の身体は毒を作り続けてる。どこにいっても襲われる続ける彼女が唯一取れる手段。やられるならば、相手をやってしまえばいい。勝利を掴み取る。まさにそんな毒を彼女は作り、身体に取り込んだ。

 その毒を払うために、彼女は水洗いされる。

「……」

 本来ではこうして近づくことも禁止されてることだが、毒を吸った僕には関係ない。もっとも犯人が摂取した致死量近いものではなく、極小なもの。

 いつ毒が全身を攻撃してくるかはわからない。

 つまり、明日死ぬのか、今日死ぬのか。誰も答えを知らない。

 唯一助かる方法があるとすれば、彼女を解毒させること。

 現在の医学で解決できないのに、そんなことが起こることはまんにしてもないだろう。

「……そろそろ行くね。検査の時間だ」

 だからこそというべきなのか、だったらというべきなのか、僕は実験サンプルとして医療に携わることにした。

 名目は検査だが、実際は多くの薬を飲まされ、注射が打たれる。

 あれはだめ、これもだめと、何度も試される。

 その副作用で、髪の毛は白く染まった。まだ二十歳過ぎだというのにおかしな話。

 それでも彼女がめざめるのならば、構いはしなかった。

 こうして二人っきりの時間を過ごすこともできるのだから、毒が完全に悪いという感じはしない。

「……それでも」

 僕は……。

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バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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