男の娘
バブみ道日丿宮組
お題:美しい息子 制限時間:15分
男の娘
「本当に息子さんなのですか?」
無理やり家に侵入してきた幼馴染はそういって、息子に視線を向ける。
息子はといえば、落ち着いた様子でりんごジュースをちゅうちゅうと吸ってた。
数年ぶりに会うというのに、俺への干渉はなしか。いや……昔からこうだったかもしれない。忘れてるだけだ。
「自慢の息子だよ」
質問に答える。
「でも、その服女の子のですよね?」
「そうだな」
息子は学校指定の制服を着てる。それも女子生徒のもの。
「なにか問題あるか?」
「問題もなにも男の子なんだから、男の子の制服を着せるべきでしょ!」
「息子がこうしたいっていうものだからね。学校も別になにもいってこないし」
「そうではあっても……! あってもですよ!」
ばんと机を叩くと幼馴染は息子を指差す。
「似合い過ぎなんですよ! これじゃ女の子と間違えられてしまいます!」
「幼稚園の頃からこうなんだから、仕方ないだろ」
今は中学生だが、男の子の格好なんて年に一回あるかないかくらいだ。
それもこれも息子の意思を尊重してるからだ。
ずっずと中身がなくなったという意思表示を紙パックが示すと、
「お姉ちゃん、僕は女の子が好きなの。だから、女の子の格好をしてたい。ダメ?」
上目遣いにうっとりとした目を息子は幼馴染に浴びせた。
それはもうかわいいとか、美しいとかいってられないくらいに、素晴らしかった。芸術品、そういつまでも飾っておきたいものがそこにあった。
こんなこが自分の息子なのだと思うと、誇らしい。
親ばかと言われようと、息子には今後も女の子の格好をさせようと決心してると、
「さすがに男の子用の下着をつけてるんですよね?」
真剣な顔を幼馴染は作る。
「そんな中途半端な格好をさせるわけないだろ。ブラジャーもしてるし、女物の下着も履いてる」
「パパ、いっちゃだめ!」
恥ずかしそうに頬を赤らめる息子は、非常に娘だった。かわいい。
「言わないと伝わらないだろ?」
服を脱がすというのは流石にあれだろう。うん、レイプするみたいで嫌だ。息子を汚してはいけない。
「うちのこと付き合わせようと思ったのに!」
「同じ高校を志望してるだっけか?」
一呼吸。
「それであなたと私がやっと家族になれるんだって思ったのに」
「友だちは友だちのままだろ」
「だから、子どもたちが結婚すれば、親戚じゃない」
「そうか?」
「そうよ」
そのあと、めちゃくちゃ娘自慢をされた。
息子と並べたらとてもよさそうな可愛い子だった。
男の娘 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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