下り坂

@Royalchan

第1話 校内

 自分でいうのもなんだが、女との関係を築くのが得意だった。ただ、都合のいい関係を求めて連絡を取っていたりしたのかもしれない。誰に対しても優しく接してしまい、携帯の連絡先には女ばかりが並んでいた。そんな時、1人の女と出会った。今はもう別れてしまい関係はないが、僕という人間を大きく変える人間であったことに間違いはなかった。


 僕は地元の工業高校へ入学した。その高校は、商業科もあり棟は違えど女はいた。なぜ、工業高校という男子しかいない空間へ入っていったのか未だにわからない。その学校でやりたいこともなかった。ただ、「なんとなく」工業高校へ入学した。

 最初は本当に男しかいない空間に驚きが隠せなかった。この状態で3年間やっていけるのだろうかと、正直不安で仕方がなかった。中学時代の女友達とよく遊んでいて、男友達と遊ぶことなんて年に数回あるかないかだった。僕自身はきっちりと性別を男だと思っている。でも、男のことが好きではなかった。もちろん自分自身のことも好きではなく、死んでしまっても誰も悲しまないようなそんな人間だと思っていた。

 そんな中、入学式の日がきていた。その入学式で僕は彼女にあった。僕は彼女を見て、すごくきれいだと思った。だが、顔が鮮明に見えたわけでもなく感覚的にきれいだと思えたのだ。そのときからきっと恋をしていたのだろう。工業棟で歩く女がいれば男友達に確認をとり、誰なのかを知ろうとしていた。ついに見つけることができた。ただ、自分が思った以上にその子のことには興味を持てなかった。実際そんなものなのだろうと思い、その話は僕の中からないものとして閉まっておいた。

 月日が流れ、部活に所属した。部活に入るまでは高校に行くのが憂鬱で全く楽しくもない生活を送っていたと思う。でも、部活に入ってからは楽しみが増えて毎日登校したいと思えるような気持ちの改善まで起きた。

 しかしここで思いもよらないことが起きる。入学式の時の彼女がいたのだ。それは先ほど紹介した子ではなく、僕が気なしに聞いていたときに「私だよ」とその子は言った。僕の予想通りのきれいな顔立ちときれいな性格をしていた。きれいな性格というと、一体どういう性格かと思うかもしれない。彼女は本当に誰にでもわけへだてなく関係を作ることができて、一部の人に嫌われているからという理由もなく、群れることもなく、自分を持ちはっきりとした子で本当にきれいな性格だった。それに曲がったことも嫌いだった。僕はまたその子のことが夢中になってしまい、毎日のように連絡を送り続けていた。

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