とある生徒会の日々に(二学期)
縛那
第1話 ナイショの話 その1
「っちぃ! だめだだめだ!! こんなんじゃ明日までに終わらない」
殆どの人間が、とっくに寝ているであろう時間。
俺は頭をかきながら、苦悩していた。
「ったく、、会長も無茶を言ってくれる。いくら俺でも出来ることとできないことが……」
ノートパソコンの画面を見つめたまま、俺は椅子に背を預けてため息をついた。
「ストップ」
少女の一言が俺の話を遮った。
「だからなんなんだよ!! 直!! お前はいつもいつも!!」
「なぁ、、薫……これって……」
直は両膝を机について、その上に顎をのせたままため息をついた。
「前回と、、まっーたく同じ始まりなんだが……はぁ……」
直は呆れたように、二回目のため息を吐いた。
「いや、、まぁ、そうなんだが……ってか、だったら同じような題材で書かせるなよ!!」
俺は机の上に、数百ページにわたり書かれた原稿用紙を叩きつけた。
「うわぁ、、まーた、ずいぶん書いたのね……」
清美は呆れたような感心したような微妙な表情を浮かべ、原稿数枚を手に取ると黙々と読み始めた。
「なにこれー! この前書いてたやつと似たり寄ったりな話じゃない……」
清美はA◯B◯ばりの困惑した表情を浮かべ、真横にいる妹晴美ちゃんへとそのまま原稿を渡した。
「記憶喪失、、ハーレム状態、、そしてまた、多重人格……先輩、、他にアイディアないんですか?」
「ない! これ以上のものは俺は書けん!!」
清美と晴美ちゃんが、顔を突き合わせて姉妹揃ってため息をついた。
なんだよ、、そんなに酷いーー
「まぁ、、確かにこれは酷いわね……」
ジャスミンティーをかき混ぜていた星奈さんが、唐突に話に入ってきた。
でも、あなたーー読んでもいませんよねー!!!
残念!!
読まずとも、内容はわかってますから〜
斬りー!!
と、、波◯陽◯ばりのギターを脳内でかき鳴らすくらいには衝撃的だった。
そんなに、、俺の話はつまらないのか!!
「そんな、、みんな酷い!! 酷すぎる!! 俺、、泣いちゃうーー!!」
「いいぞ、泣け、、できれば無様に鼻水ダラダラ垂らしながら汚らしく泣けよ、、このブタ」
俺が泣き真似をすると、直が吐き捨てるように言い終わる前に被せて来やがった……。
ってか、、なんかいつもよりアタリキツくない?
えっ…………マジで泣いていい?
「だから良いとーー」
「心の声まで読むな!! なんだお前エスパーか! 宇宙と更新できるタイプのやつか! ハッ!! それとも機関の人間か!! なら、お前はーー」
「あっ、清美、それとって」
「はい」
「……フゥッ、、ハッハハハ!! 自分で振っておいて丸投げか? 回収もなしに置き去りかぁ!?」
「ありがと」
「ノスタルジアドライブ!! お前マジか!! マジ無視1000%か!! ドキドキで壊れちまうぞ!!」
「……さっきからうるさいやつだな……」
直が怪訝そうな顔で、俺を見た。
いや、、その反応はおかしくない?
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