雪の向こう側まで
春嵐
雪の向こう側まで
彼がいなくなってから、1年ほど経った。
慣れてきた。部屋の空っぽな感じも、ひとりのごはんも。
どうやら死んだらしい。生きてると、わたしは思っている。思っているだけで。彼が目の前に現れるわけでもない。
よく、眠るようになった。夢の中なら、彼に会えると思ったから。
起きると、泣いている。そして、夢の内容は覚えていない。彼が出てくる夢ではなかった。それだけが、たしか。
眠って。起きて。少しだけ泣いて。また、ひとりの部屋で今日をはじめる。
雪。彼がいなくなった日も。雪だった。1年経つ。こうやって、何度も何度も、1年を繰り返していくのかもしれない。雪が降るたびに、彼のことを思い出して。来年も。再来年も。
もういちどだけ眠ろうかな。次は、彼の夢を見るかもしれない。
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