第10話 聡子 4

聡子が俺に手を差し伸べる。

だめだ聡子。

朦朧とした意識の中で、俺はだめだと繰り返す。

俺なんかを許してはだめだ。

聡子。

俺のことは憎め、俺はそれだけのことをしてきた。

でも

でも

俺は途切れる意識の寸前で心が安らかになって行くのを感じた。

俺は

俺は聡子から許されたかったのか。

聡子

聡子

おまえはなんて優しんだ。

この最後の瞬間、もう一度だけおまえの優しさに触れてもいいだろうか。

ありがとう聡子

ありがとう聡子

そして俺の意識は眠るように消えて行った。

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