彼女と酒
バブみ道日丿宮組
お題:彼女の酒 制限時間:15分
彼女と酒
「誰が一体彼女にお酒を飲ませたのだろうか」
そうぼやいてはみたが、周りには誰もいない。いや……彼女だけがこくりこくりと眠そうに揺れてる。そんな彼女を居酒屋に放っておくわけにもいかず、了承もなく家へと連れ帰ってしまってた。
夏の蒸し暑かった外とは部屋の中は違うが、帰ってくるまでにかなりの汗をかいてしまってる。エアコンをぎんぎんに動かしてるがなかなか発汗はひかない。
「服を脱がせる? 身体を拭く? 水を飲ませる?」
いろんな考えが浮かんでは消えた。
女性の介護なんてしたことのない俺はただただ困惑。替えの服は俺のTシャツとかになるだろうが、下着なんてものは一枚もない。いや……男用のを履かせればいいだけのかもしれないが、それならむしろ履いてない方がマシなんじゃないだろうか。
「普段口うるさいやつなのにどうしてこうも酒を飲むと静かになるのだろうか」
お酒を飲むと素が出るとかという話を聞いたことがあるが、本当だろうか? 幼い頃からずっと一緒にいるがそんな光景は見たことがない。どちらかといえば、ガキ大将のようにワンパクさが目立つ少女だった。
「……大丈夫か?」
「……うん」
相槌を打てるぐらいには意識はあるようだが、いかんせんぼぅとしてて危ない。
居酒屋から彼女を連れてくことは周りからかなりピンク色の声が上がった。彼女とのそういう行為発展があるとあいつらは思ってるのだろう。
そんなことはありえない。
幼馴染は、幼馴染であって、恋人じゃない。家族に近いものだ。
「お風呂入るか?」
「……シャワーやって」
やってというのは、かけてとか、一緒に入ろうとかいうことだろうか。
「濡れタオル渡すから、それで代わりにしないか?」
ぶんぶんと激しく頭を振るわれた。
それは酔いがさらに深刻するのではないかと思ったが、彼女は大丈夫そうだった。
「……一緒に入ろう」
甘えるような優しい音色が俺の耳に届いた。
「……一人は寂しい」
「……うーん」
どうしたものか。
酒によってる人間一人をお風呂に入れるのは危険だろう。そうさせようとしてた俺も俺だが……一緒に入れば安全ではあるか。
そうして決意すると、彼女の手をとってお風呂場に向かい、一緒に入った。
その結果として、彼女の酔いは完全に冷めてしまい、思いっきり頬を叩かれる結果となった。
いや……理不尽だろう。
彼女と酒 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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