怒りの色
バブみ道日丿宮組
お題:昨日の光 制限時間:15分
怒りの色
スマホの電池残量を見て、すぐにポケットへと戻す。
連絡はきてない。
昨日あれだけ喧嘩をしたんだ。仲直りの連絡を待つのは酷い悪手なのかもしれない。
今日学校に行く前に見た彼女は、ぷんぷんと怒りのオーラを放ってた。
だから、声をかけずに出てきてしまった。
いつもなら、おはようのキスから、おでかけの法要というぐらいに愛情表現が強いのだが、それは当然なかった。
第一に寝室に籠もった彼女と一緒にねるわけにもいかず、僕はお風呂場で眠ってた。だからこそ、ないものはなかったと思ってはいたのだが。
「……」
なんだか調子が狂ってしまう。
甘やかしすぎだとか、過剰気味だとか、いろいろ彼女との付き合い方で周りから意見をもらうことが多々ある。それのいったいどこが駄目なんだと僕らは笑い合ってた。
そんな二人であっても、喧嘩はする。喧嘩をするから仲良くいられるのだ。
喧嘩した理由はすごく簡単なもの。
どっちのほうが愛してるか。
他人事でいえば、すごくどうでもいいことかもしれない。
愛情の大きさなんて見えないし、多かろうが、少なかろうが、それは愛に変わりはないのだから。
「……」
そういうこともあって、昨日真剣に話す彼女の言葉を聞きながら、スマホでソシャゲを走ってしまった。
彼女が怒るのも分けはない。
僕がいけなかったのだ。怒りの炎が瞳に宿った彼女を冷却すべく、すぐに謝るべきであった。
ただ……その時はすっごくいいガチャが引けてて、わりと精神が高ぶってた。
だからこそ、そっけない態度をとってしまった。
つまり、僕が一方的に悪いのだ。
愛がないわけじゃない。彼女を見てなかっただけなのだ。
「……」
しまったスマホを取り出して、頭に浮かんだ謝罪の言葉を並べた。これで彼女の機嫌がなおるかはわからない。でも、やるしかない。
そんなことをしてたから、講義の半分は頭に入らなかった。
怒りの色 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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